「屍者の帝国」初日舞台挨拶で第2作「虐殺器官」公開延期&第3作「ハーモニー」公開繰り上げを発表
2015年10月3日 18:45

[映画.com ニュース] 夭折の小説家・伊藤計劃さんが残した作品をアニメ映画化する「Project Itoh」の第1作「屍者の帝国」が10月2日、全国72館で公開され、細谷佳正、村瀬歩、花澤香菜、楠大典、三木眞一郎、山下大輝の主要声優陣とメガホンをとった牧原亮太郎監督が、東京・お台場シネマメディアージュで初日舞台挨拶に立った。合わせて、本プロジェクトの第2作「虐殺器官」が制作体制の見直しのため公開延期になり、第3作「ハーモニー」の公開が11月13日に繰り上げとなったことが発表された。
映画は、芥川賞作家・円城塔氏が伊藤さんによる序文を書き継いだ小説を映像化。死者をよみがえらせた屍者を労働力としている19世紀末のロンドンを舞台に、国家の密命を受けた医学生ジョン・H・ワトソンが、死後ワトソンによって屍者化された親友フライデーとともに、伝説の書物「ヴィクターの手記」の捜索を開始する。
主人公ワトソン役の細谷は「いよいよ初日を迎えられたのが嬉しくて、笑いが止まりません!」と登場直後から興奮気味。さらに、テンションを維持したまま「本アフレコの2カ月前にプレアフレコという、画作りのためのアフレコをやったのですが、その時はト書きを元に演じていたので、完成した映像に驚きました」と作品の魅力を熱弁。その具体例を問われると、「特に“死者の書”がCGになっていたのがすごかった!」と自信満々に語ったが、共演陣は「そこ!?」と総ツッコミで、客席からは笑い声が上がっていた。
細谷の“浅い”説明を受け、牧原監督は「プレアフレコは一度全体像を見てから、最終的な画をフィックスするための重要な作業」と解説し、「細谷くんには、ガッカリです」と苦笑い。これに対しフライデー役の村瀬は「僕は、プレアフレコで気づいた足りない点や工夫すべき点を、本アフレコに反映した」と明かし、「結果、心で考えるのではなく、プログラムされて動いている屍者の“意識的でない、無意識の動き”を、音響、映像含め繊細に再現することができた」と同調した。村瀬の見事な説明に、客席から「おおー!」と歓声が上がるなか、細谷は「言葉がすべてじゃない! ネタバレしないよう、僕は映画を守っているんです!」と反論。これには隣の花澤も「細谷さん、楽屋でも1番喋っていたのに散々!」と吹き出していた。
監督、キャスト、客席の総攻撃を受け、落胆しきりの細谷だったが、製作時の苦労を聞かれると「プレアフレコで追い詰められた」と告白し、「プレアフレコで発揮した本能、理解度をもう一度出そうと、本アフレコで意識しすぎてしまった」と神妙な面持ちで語った。これに対しベテラン声優の三木が、「今日イチいいこと言ったんじゃない?」と称賛すると、細谷は「今、僕、主演俳優の顔しています!」と満足げにガッツポーズを決めていた。
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