武田梨奈、唯一無二の女優を目指して 新境地開拓の衝撃的な役を振り返る
2015年10月3日 05:00
[映画.com ニュース] 女優の武田梨奈が、10月3日公開の映画「木屋町DARUMA」で体を張った熱演を見せている。それも得意のアクションではなく、父親の借金のため風俗に身を落としていく女子高生という衝撃的な役どころに挑戦。榊英雄監督らの愛情あるスパルタ指導によって「度胸がついて、もうどんな怖い現場でもいけると思うようになった」と新境地を開いた撮影を振り返った。(取材・文・写真/鈴木元)
撮影が行われたのは約2年前。デビュー作「ハイキック・ガール!」や「KGカラテガール」などで注目され始めていたものの、他のオーディションでは「アクションじゃないのに、なぜ来たの?」とイメージ付けされることも多く、「アクションも普通のお芝居も同じ表現なのに、分けられるのはすごく嫌」と悩んでいた時期。そんな中で出会った、共演者でキャスティングも担当していた木下ほうかから直接送られてきたのが「木屋町DARUMA」の脚本だった。
遠藤憲一演じる、抗争で四肢を失ったやくざの元幹部を主人公に裏社会に切り込んだハードな内容だったが、「台本を読ませていただいたら挑戦したことがない役柄だったので、頑張ってみたいと思いました」と即決。榊監督からは、「現場で闘ってね」と激励されたが、撮影は想像をはるかに超える過酷さだったという。父親の目の前で遠藤からいやがらせを受ける冒頭のシーンから“洗礼”は始まった。
「台本では言葉で責めてくるというだけで、リハーサルでも何もなかったんですけれど、本番で顔をなめられたり、スカートの中に顔を入れてきて…。あれはリアルな恐怖のリアクションです。監督や共演者の皆さんが、私を追い込もうとしてくれたんだと思います。常に何をしても怒鳴られ、芝居をしても帰れって言われたり、自分はここにいていいんだろうかとかっとうしましたね。現場での監督は悪魔にしか見えないくらい怖く、毎日が闘いでした」
風俗に染まり父親にひわいな言葉を放つシーンや、遠藤と再会し取り乱して暴れるシーンなど、まさに体当たりの連続。物語のポイントで登場し、遠藤、木下をはじめ寺島進、木村祐一らコワモテでくせ者の先輩たちを相手に、すごみさえ感じさせる強烈なインパクトを残す。
連日、現場の弁当さえノドを通らないほどだったが、それだけにクランクアップの際は「放心状態でした。皆さんによく頑張ったと言ってもらえてホッとしたせいか、打ち上げでお酒を飲んで寝てしまいスタッフさんに起こされた記憶があります」と、持てる力以上のものを注ぎ込んだことをうかがわせた。
「自分の感情のキャパを超えられた役だったので、役者として新たな挑戦をさせていただいた作品でした」。その後、頭突きで瓦を割るクレディセゾンのCMをきっかけに一気にブレークした感があるが、「仕事が増え忙しくはなっていますけれど、私としてはあまり変わっていないです」と強調した武田。「木屋町DARUMA」は過激な内容ゆえ、公開が決まるまで時間を要したが、「難しいかもって聞いていたので、うれしいですね」と素直に喜びを表す。今も空手の稽古は欠かさない努力家。「この役は武田じゃなきゃダメだって言ってもらえるような、かわりのいない女優になりたい」。唯一無二の女優を目指し、鍛錬は続く。
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