問題作のキャスト&監督が語る「不愉快な現実」 「ドローン・オブ・ウォー」特別映像公開
2015年9月29日 05:00

[映画.com ニュース] 名作「ガタカ」のアンドリュー・ニコル監督とイーサン・ホークが再タッグを組んだ「ドローン・オブ・ウォー」で、メイキングとインタビュー映像が公開された。
映画は、アメリカ空軍のトミー・イーガン少佐(ホーク)が、ラスベガスの基地から戦闘用の無人航空機(ドローン)を操縦して敵国を空爆する任務のなかで、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しめられるさまを、家族との関係も織り交ぜながらリアルに描く。
室内にいながら、スイッチ1つで対象を殺害するという対テロ戦争の衝撃的な現状を描いた本作。これまでにも、テクノロジーと人間の関係性を問う作品を発表してきたニコル監督は、「これが現実だと見せたかった。まるで空想のようだが現実の科学だ」と警鐘を鳴らす。「観客の気分を悪くしたい。これは不愉快な現実だから」とまで言ってのけ、多くの人々にこの事実を知ってほしいと訴える。その言葉に賛同するのは、イーガンの上官・ジョンズを演じたブルース・グリーンウッド。「この問題から目をそらさず、真剣に議論してほしい。そこに作品の意義がある」と神妙な面持ちで語った。
イーガンの妻・モリー役のジャニュアリー・ジョーンズと、イーガンの右腕となる新米の女性空兵スアレスに扮したゾーイ・クラビッツといった女優陣は、兵士の精神状態を指摘する。「主人公の仕事に起きた大きな変化が家庭の崩壊につながり、彼は苦しむの。これを見た人に、今まで知らなかったことに気づいてほしい」(ジョーンズ)、「戦争は人間が行うもの。人間性を取り去ると感覚を失って、自分が何をしているのかちゃんと理解できなくなる」(クラビッツ)。
繊細な演技でイーガンの苦悩を体現したホークは、3度目のタッグとなるニコル監督の手腕を「アンドリューにしかできない仕事だ。彼は政治に明るく、鋭い問題提起をしてくる」と高く評価。「これは実際に起こっていることだ。とてもリアルで不安定な現状だ」と作品のテーマに言及しつつ、「兵士たちの関係を扱った映画はよくあるが、一兵士を掘り下げるには背景が必要だ。イーガンは家庭を大事にしている。その家庭と仕事の対比が面白いところだ」とさらに踏み込んだ意見を述べている。映像ではメイキングのほか本編シーンも満載で、ジョンズが兵士たちに「諸君の半分はゲームセンターでリクルートされた」と耳を疑いたくなるような発言をするさまも確認できる。
「ドローン・オブ・ウォー」は、10月1日から全国公開。
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