「繕い裁つ人」三島有紀子監督が語る“戦友”中谷美紀のすごさとは?
2015年9月2日 13:30

[映画.com ニュース] 池辺葵氏の同名人気コミックを、中谷美紀主演で映画化した「繕い裁つ人」の三島有紀子監督が、ブルーレイ&DVDの発売を前に映画.comのインタビューに応じた。
映画は、神戸の町の仕立屋「南洋裁店」を祖母から受け継いだ2代目店主・市江(中谷)が主人公。常連客のためだけに服を繕い続ける頑固者の市江とその客、市江にブランド化を勧める神戸のデパート店員・藤井(三浦貴大)らの人間模様を見つめる。片桐はいり、黒木華、杉咲花、伊武雅刀、中尾ミエ、余貴美子らが出演する。
「元々、自分のオリジナルで仕立て屋さんの映画の企画を考えていた」と明かす三島監督は、原作をそのまま実写化する気はなかったという。「自分にとって何が『繕い裁つ人』なのかを考えたときに、市江さんの生き方に私はとても共感し、市江さんという人物に寄り添いたい、共に人生の旅に出たいと思ったのがきっかけだったので、市江さんという人間に原作から抜け出していただいて、その人ともう一度自分の世界の中で生き直す、というつもりで作っていたんです」と、主人公のキャラクターに魅せられたと語りつつ、映画監督としての強いこだわりをにじませた。そんな三島監督にとって、市江を演じた中谷は戦友といえる存在だといい「もの作りに対しての真摯な姿というのは、本当に市江さんそのもの。彼女がその場に立ったときに、非常に空気が静ひつになるんです。中谷さんのすごいところは、映像にそれが映し出される」と、16日間という過密な撮影スケジュールを共に歩んだパートナーを称えた。
物語は、昔かたぎな市江に起こる“変化”が大きなテーマだともいえるが、三島監督自身は「人は変わっていくということこそが生きている証。だから、自分がとても大切にしている思いだったり、強い願いは押さえこんではいけないと思うんです。だから、変化を恐れたくない。でも一方で、変わらないでいたいという気持ちは、自分の哲学みたいなものだと思うので、それも大切にしていきたい」のだと語る。先代の教えに沿い、服を繕い続けるという伝統を受け継ぐ精神と、新たな自分のデザインの服を生み出したいという作り手としての欲求のはざ間で揺れる市江に寄り添い、どちらの気持ちも等しく大事なものだとした。
ブルーレイ&DVDの発売を、「1人ひとりの胸に抱きしめてもらえる日」という三島監督は、セリフの少ない映画ゆえに、ひとつひとつの音を感情表現として扱っていると語り、さまざまな角度から見ることで「市江さんの服のように、ずっとこの映画がその方のおうちで寄り添っていけたら」と締めくくった。
「繕い裁つ人」ブルーレイ&DVDは9月2日発売(レンタルも同時スタート)。
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