荒井晴彦監督、30年かけて実現した「この国の空」の公開に感無量の面持ち
2015年8月19日 14:30

[映画.com ニュース] 脚本家・荒井晴彦が8月15日、横浜シネマリンで開催中の上映イベント「脚本家・荒井晴彦が選ぶ戦争映画三選」に参加し、「身も心も」(97)以来18年ぶりに監督を務めた「この国の空」について語った。
芥川賞作家・高井有一氏による同名小説を映画化した本作は、終戦間近の東京で母と暮らす19歳の里子(二階堂ふみ)と、その隣人であり、妻子を疎開させて1人で暮らす38歳の銀行員・市毛(長谷川博己)の許されざる恋の結末を、繊細かつ官能的に描く。
荒井監督は、「『この国の空』の原作権を取ったのが、出版された当時だから30年前、それからシナリオの執筆に取りかかったのが7年前。原作者の高井さんにお願いした手前、ずっと気になっていた。長い年月をかけて、この企画が成立したこと自体が意義深いことだと思う」と、ライフワークともいえる作品が公開を迎えた喜びを語った。作品の反響においては「いい意味で賛否両論がでるかと思ったが、どの方面からも褒められていて慣れない。映画評論家の佐藤忠男さんから褒められたのは意外だった」と照れつつも喜びを隠せない様子。「見た人から神代辰巳監督の映画のようだ、とよく言われているけれど、それには自覚があって、二階堂さん演じる里子が畳で体をゴロゴロさせるシーンは“ここは神代でいこう”と現場でも言っていましたね。今の日本映画のスタンダードではなくて、昔の日本映画のそれをやってみたい、という思いがあった」と、舞台裏を明かした。
本作は戦後70年という節目の年に公開されたが、荒井監督は「戦争映画というのは少なからず、反戦映画の体をなすのだと思うのだけれど、戦地を描くとどうしてもアクション映画になってしまう。その視点は自分が映画を撮るのであれば違うと思っていた」と、戦時下を舞台としつつも、あくまで里子の恋愛を描くことに徹した理由を説明。さらに、「昔からシナリオを描いているけれど、戦争や難病のように片側に『死』がないと、恋愛は描きにくいと思っていた」と、“死と隣り合わせの恋”を描いた本作にもつながる己の美学に言及した。
なお、「脚本家・荒井晴彦が選ぶ戦争映画三選」では「春婦伝」(65)、「執炎」(64)、「赤線基地」(53)の3本が上映されており、荒井監督は「『赤線基地』を見て、リメイクしたくなった」と創作意欲をあらわにしていた。
「この国の空」は、工藤夕貴、富田靖子らが出演する。エンドロールでは、女流詩人・茨木のり子の「わたしが一番きれいだったとき」が使用されている。公開中。
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