若尾文子、小津安二郎監督に思い馳せる「お嫁さんになりたいと思った」
2015年6月27日 15:45
[映画.com ニュース] 日本を代表する女優・若尾文子の代表作60作品を一挙上映する「若尾文子映画祭 青春」が6月27日、東京・角川シネマ新宿で開幕し、若尾が「青空娘」(1957)上映後の舞台挨拶に立った。
「20代の頃から何10年ぶり」という久々の舞台挨拶となった若尾。立ち見客も出た満席の場内から大きな拍手で迎え入れられ、「ありがたいことです」と笑顔をのぞかせた。
若尾は、今映画祭で上映予定の「浮草」(59)でタッグを組んだ、小津安二郎監督との思い出話に顔を輝かせ、「私、小津先生が大好きでね。いつも真っ白い帽子と、真っ白いシャツと、真っ白い靴を履いて、朝からお酒を飲んでいらっしゃった」と懐かしんだ。続けて「1番俳優が自由に動いているように見えて、実は一番がんじがらめにしている人です。だけどそれがそう見えない」と演出に最敬礼で、「大好きでした。私こういう人のお嫁さんになりたいと思ったことがあります」と大胆告白し、頬をゆるませていた。
この日上映されたのは、増村保造監督の「青空娘」。若尾は、「『青空娘』は増村さんがイタリア留学から帰って来てからの1作目。これはシンデレラなんですけど、逆に皆をやっつけてしまうという新しい感覚でお撮りになった。(演じていて)気持ちよかったですよ」とニッコリ。増村監督は溝口健二監督の助監督時代に若尾の教育係となり、その後20作品でタッグを組んだ。若尾は、20代後半で挑んだ2人の代表作「妻は告白する」(61)の撮影時を振り返り、「ここで大人として認められなきゃならないということで、覚悟してやったもの。台本を抱いて寝ていましたよ」と当時の思いを明かした。
最後に若尾は、今映画祭のタイトルでもある“青春”にちなみ、自らの青春ついて聞かれると、「ただひたすら映画とともにありました。私の青春なんてほかにはない。映画と撮影所が私の青春です」とキッパリ。映画に生きてきた大女優の貫録を見せていた。「若尾文子映画祭 青春」は8月14日まで、東京・角川シネマ新宿で開催。7月11日から大阪・シネ・ヌーヴォほか全国順次上映。
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