「ショートショートフィルムフェスティバル」グランプリはイラン作品 奥田瑛二「監督の心が美しい」と絶賛
2015年6月15日 21:30
[映画.com ニュース]米アカデミー賞公認の短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア 2015」(SSFF&ASIA)の授賞式が6月15日、東京・渋谷ヒカリエで開催され、イランのレザ・ファヒミ監督による社会派作品「キミのモノ」がグランプリに輝き、来年のアカデミー賞短編部門のノミネート対象作品に選出されることが決定した。
俳優の別所哲也が1999年に立ち上げ、今年で17回目の開催となるSSFF。今回オフィシャルコンペティション部門で上映されたのは、世界96の国と地域から応募された4559作品から選ばれた85作品。審査員を務めた作家の冲方丁、俳優の奥田瑛二、要潤、藤原紀香、チョン・ウソン、河瀬直美監督が、「インターナショナル部門」「アジア インターナショナル部門」「ジャパン部門」それぞれの優秀賞を決定し、その中からグランプリを選出した。
ファヒミ監督は「アジア インターナショナル部門」の優秀賞を受賞した際に、「心から嬉しい。イランでも賞を頂きましたが、海外では初めて」と緊張気味にコメントしたが、グランプリに決定した際には「今、夢を見ているようです。関係者の皆様に心から感謝したい」と唇を噛みしめて笑顔を弾けさせた。奥田は「グランプリは審査員みんな同じ心で選ばせて頂きました。監督の心が美しい。監督のまなざし、心の表現が豊かだった」と絶賛した。
「インターナショナル部門」優秀賞は、産気づいた妊婦を車に乗せたことから起こる悲劇を描いたチュニジアのロットフィ・アコー監督作「父親」が受賞。アシュー監督は、「アラブの世界では今、悲観主義と楽観主義がないまぜになっている状況。そこで親子関係を描くことで、人間的な物語を描きたいと思いました」と母国の現状を訴えた。
「ジャパン部門」優秀賞を受賞したのは、岸本司監督が沖縄の現状を描いた「こころ、おどる Kerama Blue」。岸本監督は「沖縄は観光的には美しいが、政治的には複雑な土地。言葉を超えて、笑い合いひとつになれるものを作りたかった」と真摯に語った。
このほか、CGアニメーション部門はジョシー・マリス監督の「ベンディートマシンV 引金を引け!」が優秀賞を受賞。審査員を務めた山崎貴監督は、「シンプルな表現でめまいがするほどの時間を感じさせた」と独特な言い回しで賛辞を送った。また、「ミュージックShort部門」UULAアワードには藤原伊織監督の「しおり」、同部門シネマチックアワードにはKANA-BOONの楽曲を使用した山岸聖太監督の「生きてゆく完全版」が輝いた。
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