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インドネシアの大量虐殺描く「ルック・オブ・サイレンス」監督&被害者が議論「沈黙と恐怖を見えるように」

2015年6月4日 13:30

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ジョシュア・オッペンハイマー監督(左)と主人公のアディ・ルクン氏
ジョシュア・オッペンハイマー監督(左)と主人公のアディ・ルクン氏

[映画.com ニュース]インドネシアで起こった大量虐殺を被害者の視点から描いたドキュメンタリー「ルック・オブ・サイレンス」のジョシュア・オッペンハイマー監督と主人公のアディ・ルクン氏が来日し6月3日、早稲田大学小野記念講堂で特別試写会とパネルディスカッションを行った。

1965年にインドネシアでスカルノ大統領(当時)親衛隊のクーデター未遂事件が発生し、当時の軍部が事件の黒幕を“共産主義者”とした。これにより国内各地で100~200万人もの人々が民間人によって虐殺された。その後、政府が虐殺の罪を問うことはなく、加害者側は現在も権力の座につき続けている。今作は、同事件を加害者側の視点から描いて世界中に衝撃を与えた「アクト・オブ・キリング」の続編で、加害者と今も隣人として生活することを強いられている被害者たちの苦悩に迫った。

今作を製作した動機についてオッペンハイマー監督は、「目に見えない沈黙と恐怖を見えるようにしたかった」と、インドネシアの人々が50年に渡り抱えてきた問題を可視化するためと明かす。「恐怖は被害者が感じること、沈黙は加害者が感じることです。また、加害者は罪悪感に対しての恐怖も持っています」といい、「被害者と加害者が、隣人としてお互いを恐れ合って生活している。それについて語ることができれば、その問題に対峙できるのではないかと思った」と、当時の大量虐殺を正当化しているインドネシア社会にメスを入れた。

大量虐殺で兄を亡くし、自らの身の危険をかえりみず今作の主人公となったルクン氏は、加害者に直接会いに行った経験を「非常に怖かった」と告白。しかし、「沈黙を保つことを終わりにしたかった。現実に村には加害者と被害者の家族が一緒に住んでおり、その間の嫌悪感や恨みが無いようにしたかった。それぞれの子どもたちが将来結婚できたりするように、両親が経験したことを繰り返さないようにしたかった。もし殺りく者たちが謝るのであれば、私は許すことができた」と言葉を選ぶようにゆっくりと語った。

さらにオッペンハイマー監督は、今作がインドネシア社会に与えた影響について「主流メディアが1965年に起きた事や、殺りく者をそれまではヒーロー扱いしていたが、虐殺を虐殺であったと言えるようになった。この2部作は『裸の王様』の少年の様なもので、『王様は裸だ』と言えるようになったのです」と話す。続けて、「この映画は遠い異国で起こっていることへの“窓”ではなく、自らを映す“鏡”。人は過去から逃げ出すことはできない。だから過去の失敗から学ばなければいけないし、平和的に立ち止まり、振り向き、言い訳をせず理解し、受け入れることが大事だと思います」と、これから映画を見る世界中の人々に向けて訴えかけていた。

ルック・オブ・サイレンス」は、7月4日に東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムほか全国で公開。

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