原恵一監督「日本のアニメーターにしか描けない」と「百日紅」に誇り
2015年5月8日 16:00
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[映画.com ニュース] 「映画クレヨンしんちゃん」シリーズや「河童のクゥと夏休み」で知られる原恵一監督の最新アニメーション映画「百日紅 Miss HOKUSAI」が5月7日、東京・有楽町の外国人特派員協会で上映され、原監督が外国人記者の質問に応じた。
2005年に46歳の若さで死去した杉浦日向子さんの同名人気漫画の映画化。浮世絵師・葛飾北斎の娘・お栄を主人公に、江戸で暮らす市井の人々の活気ある暮らしを描いている。オープニングからロック調の楽曲で幕を開けるが、原監督は「いわゆる伝統的な時代劇ではないという意思表示」と説明。「お栄がロックな女性であるということです。原作者の杉浦さん自身ロックが好きで、江戸を描きながらロックを聴いていました」と語った。
江戸の庶民の描き方に関しても、これまでの時代劇が描いてきたような封建制の中で女性が男性に虐げられる様子はなく、女性が生き生きと開放的に暮らす日常が描かれる。「杉浦さんの原作を読むと、庶民に関しては現代を生きる僕ら以上にのびのびと、のんびりと、バカバカしく、季節を感じながら楽しく生きている姿が描かれています。実は女性が元気で、男性を選ぶ自由があり、女性が大事にされていた時代だった。時代劇はそこを描いてこなかったんですが、杉浦さんが僕らに教えてくれたと思います」と話した。
会見では、浮世絵の世界を描く上で全編にわたり浮世絵風タッチで描こうとは考えなかったのかという点や、本作におけるCGの役割など、アニメーションに関する質問も飛んだ。それに対して原監督は「浮世絵風に描くということは最初から考えませんでした。現代の観客にリアリティを感じてほしかったので。CGに関しては、2Dの映像の補助的役割としてCGっぽくない使い方をしました。紙に鉛筆で描くというのが今回の仕事の基本であり、昔ながらの方法で作ったアニメと言えます」と回答。特にお栄が家から走り出す姿をカメラが追いかけていくシーンに言及し「1人の人間がカメラワークを計算して作った画であり、日本のアニメーターにしか描けない、自慢したいカットです。3カ月かかりました」と、その繊細かつ生き生きとした描写に胸を張った。
なお本作は7月にカナダ・モントリオールで開催される「ファンタジア国際映画祭」でオープニング作品として上映されることが決定した。
「百日紅 Miss HOKUSAI」は5月9日から全国で公開。
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