テーマは「予知夢、心理学、ドッペルゲンガー、震災」 篠崎誠監督新作がフィルメックスで上映
2014年11月25日 15:10

[映画.com ニュース] 文科省から助成金を受けて製作された篠崎誠監督の「SHARING」が11月24日、第15回東京フィルメックスの特別招待作品として上映された。篠崎誠監督は、主演の山田キヌヲ、共演の樋井明日香、脚本の酒井善三とともに上映後のQ&Aに登壇した。
東日本大震災の予知夢を見た人々を研究する社会心理学教授の瑛子(山田)は、震災で亡くした恋人の夢を3年経った今も見続けている。一方、震災をテーマにした卒業公演の準備に追われる薫(樋井)も、この芝居の稽古を始めてから、不思議な夢を見るようになる。2人の女性を軸に予知夢、心理学、ドッペルゲンガー、震災という要素を、夢と現実が混ざり合った世界観で描く。
篠崎監督は、「僕が初めて撮った映画は予知夢とドッペルゲンガーの話。(本作は)商業映画では出来ないだろうということで、今回やらせて頂きました」と製作意図を語る。酒井は「(脚本の)最終稿は1割くらいしか関わっていない」といい、「企画を練るのに半年以上かかりました。監督に予知夢、心理学、ドッペルゲンガー、震災を入れたいと言われ、どうしようと。そのうち虚偽記憶というものが見つかって、何かつながるんじゃないかと思いました」。
夢と現実を行き来する難役に挑んだ山田は「台本を頂いて、これはやることがたくさんあるなと思いました。心理学の本を読み漁り、心理学の先生にお会いして、夜行バスに乗ってもんじゅを見に行きました」と福井県敦賀市にある高速増殖炉を実際に訪れたことを明かした。さらに、映画の話をしたバスの運転手から手土産に日本酒を渡されたといい「頑張らなければと思いました」とエピソードを披露した。
また、同映画祭の特別招待作品として上映された「さよなら歌舞伎町」でも東北出身者の役を演じた樋井は、「役作りって実は今もわからない。私自身、震災の事について向き合うところから始めました。宮城にも行き、大分復興はしていましたが、生々しい波の痕を見て胸が痛みました」と真摯に語った。
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