塚本晋也監督20年かけた「野火」フィルメックスで日本初上映「多くの方に見てほしい」
2014年11月22日 20:45

[映画.com ニュース] 塚本晋也監督・主演の「野火」が、11月22日に開幕した第15回東京フィルメックスのオープニング作品として東京・有楽町朝日ホールで上映された。ベネチア国際映画祭のコンペティション部門でのワールドプレミア、トロント国際映画祭での上映などを経ての日本初お披露目。塚本監督は舞台挨拶で、「(見終わって)げんなりされるのは、100%決まっている。それくらい暴力はポイントで使っているが、戦争が始まればこんなものでは済まされないという気持ちが強かった。暴力は映画の中で十分という気持ちの表れです」と痛切に訴えた。
高校生の時に読み感化された大岡昇平氏の同名小説が原作。第2次世界大戦末期、フィリピン・レイテ島に取り残された日本兵の壮絶な逃避行を描くが、「30代から本格的に動き始めたが、こういう映画は非情に作りづらい。全く金のない状態から多くの方の熱い協力で完成させることができた」と、約20年をかけた映画化実現までの執念を吐露した。
その“協力者”の1人であるリリー・フランキーは、「呼んでもらって光栄だった」と笑顔。「完成した作品を見た時に、絶対に商業映画にできないものを、こうあるべきという表現で完成させたことが痛快で、見る方にイマジネーションを与え、人間の悪意、誠意をゆだねる潔さに感服した」と評した。
オーディションで抜てきされた森優作も、「いろんな方の熱量で撮った作品。どうか目に焼き付けて」と感慨深げにアピール。日本公開は来年7月25日に決まり、塚本監督は「多くの人に見てもらいたかったから、もっと有名な人に出てもらいたかったので、主演と言われるのは恥ずかしいが、全国に広がっていってほしい」と期待していた。
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