グザビエ・ドラン「トム・アット・ザ・ファーム」には「タイタニック」の影響があると明かす
2014年10月24日 12:15

[映画.com ニュース]第67回カンヌ映画祭で、弱冠25歳で審査員特別賞を受賞したカナダの俊英グザビエ・ドランが、2013年に発表した監督&主演作「トム・アット・ザ・ファーム」が10月25日公開する。初めて手がけたサスペンス映画をドラン監督が語った。
ケベック州の田園地帯の閉鎖的な家族と地域を舞台に描いた同名戯曲を映画化した。2011年に舞台を見たドラン監督は、そこで描かれた「母親の嘆きが心に刺さった」と話し、「舞台は空間が限られているために濃密で、“出口”がなかった。場所はキッチン、バー、リビングだけ。映画ならトウモロコシ畑とか、広々した景色を視覚化できるし、そうすることで屋内のシーンももっと鮮烈になる」と映像化に適した作品だとすぐさま感じたそう。
そして「戯曲では描かれていない部分を映画で表現したいという気になったんだ。いろいろな意味で既に“映画である”舞台の場合、もっと何かできるはずだと感じられなければ映画化への意欲は沸かない。既に“映画として”完璧で、あとはカメラを回すだけでいいなら、映画化したくはならないよ。映画化したくなるのには理由がある。この作品には別の要素を加えられるはずだと思えなきゃね」と語る。
恋人ギョームを亡くしたトムは、葬儀に出席するためギョームの故郷を訪れる。しかし、ギョームの母は息子の同性の恋人だったトムの存在を知らず、息子の恋人はサラという女性だと信じている。サラが葬儀に来ないことに怒るギヨームの母親と、高圧的な態度でトムに農場で働くよう強いる兄フランシス。暴力に満ちたギヨーム家でトムが経験する出来事を緊張感あふれる映像でスリリングに描き出す。

これまで影響を受けた作品について問うと、「90年代のファミリー映画には影響を受けているよ。例えばティム・バートンの『バットマン リターンズ』。ミシェル・ファイファー演じるセリーナ・カイルが地味な秘書からビニール製のぴったりした衣装のキャットウーマンに変身する、あのシーンああいうパフォーマンスの自由な感じに刺激を受けるんだ。ミシェル・ファイファーの演技を見てると、不可能なことはないし、何でも許される、彼女は好きなように振る舞っていいんだという気になる。彼女が叫ぶ時、それが大げさなように見えても、現実の世界でもありそうだよなと思ってしまう。『タイタニック』が監督としてのひらめきの基本になっていたりもするんだ。『トム・アット・ザ・ファーム』はアート系の映画に見えるから、その痕跡を探すのは難しいと思うけど、実はケイト・ウィンスレットのリアクション・ショットを盗んだ部分が17箇所もあるんだ。ヒントをもらってるんだよ。もちろん、音楽や写真や絵、そして友達や母親にもね」とインスピレーションの源について明かした。
「トム・アット・ザ・ファーム」は、10月25日から新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷アップリンクほか、全国順次公開。
(C)2013 –8290849 Canada INC. (une filiale de MIFILIFIMS Inc.) MK2 FILMS / ARTE France Cinema (C)Clara Palardy
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