城田優「自分の顔が大嫌いだった」体験を重ねて挑む「ファントム」に客席総立ち!
2014年9月16日 17:34

[映画.com ニュース] これまでに映画や舞台で多彩なバージョンを生み出してきた「オペラ座の怪人」。これを、「NINE」のアーサー・コピット(脚本)とモーリー・イェストン(作曲家)のコンビがまったく新しい視点で描いたミュージカルが、「ファントム」だ。城田優が初めて単独主演する同作の東京公演が9月13日、赤坂ACTシアターで幕を開けた。ヒロイン、クリスティーヌ役の山下リオ、劇場支配人キャリエール役の吉田栄作が、それぞれ初めてミュージカルに挑戦。今回はファントムの母ベラドーヴァが歌う「Beautiful Boy」が新曲として追加され、世界初披露された。
「ファントム」がもつ独自性、素晴らしさについて、ファントム=エリックを演じる城田は「非常に人間的な作品」と解説する。「ほかの作品では描かれていない家族、エリックという人間がなぜファントムになってしまったのか、なぜここに生まれてきたのかという“エピソード0”的な部分が描かれています。エリックの細やかな心情、背景、生い立ち、コンプレックス、愛というものに焦点が当たっているので、人間のいろんな感情が混ざっている。まさに僕たちが生きているこの人生のような作品なんです」
人が恐れおののくほど醜い容貌をもち、オペラ座の地下に隠れ住んできたエリック。美貌の城田が、マスクで顔を隠して演じている。かけ離れた役かと思いきや、共感する部分があるという。「彼のもつコンプレックスを、僕が完全に理解することなんてできない。ですが同時に、容姿に関するコンプレックスを僕ほどもっていた人は周りに絶対見つからないだろうとも自信をもって言えます。なぜなら僕は、この国では根本的に“他人と違う”顔。それを経験してきているんです。いまでは僕も自分の容姿は好きですが、20歳くらいまでは大嫌いでした。この顔のせいでオーディションを落とされ続けて仕事のネックにもなりましたし、10代のころはまったく自信がもてませんでした」
そんな経験と想像力を総動員し、稽古を重ねてきた城田の言葉からは、役に対する洞察の深さ、こだわりの強さが伝わってくる。「エリックは劇場の地下で暮らしてきて人と接した経験がほとんどないから、人間として欠落している部分があるはずだと思うんです。僕は最初、クリスティーヌとのやりとりでは空気が読めないし気持ちが爆発して舞い上がってしまって、それに自分で気づくという芝居をしていたんですけど、演出のダニエル(・カトナー)のエリック像はもっとジェントルマンで落ち着いたイメージ。台本と自分の想像するエリック像とのバランスをとるのが難しかった」
そんな試行錯誤のかいあって、城田はいままでにない若さと無垢さ、優しさを感じさせる繊細なファントム像を打ち出し、表現力豊かな歌声で観客に痛切な思いを伝えることに成功。初日のカーテンコールではフォトセッションイベントも行われ、涙が乾かないまま総立ちで喝さいを送る客席に感謝。「ひとりでも多くの方に見てほしい。応援よろしくお願いします!」とさわやかな笑顔を見せた。
ミュージカル「ファントム~『オペラ座の怪人』の真実~」は9月13日~29日、東京・赤坂ACTシアターで、10月5日~15日、大阪・梅田芸術劇場メインホールで上演。
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