サラ・ポーリー「物語る私たち」でひも解く自身の出生の秘密と母の恋
2014年8月29日 15:10

[映画.com ニュース]カナダ出身の女優で監督のサラ・ポーリーが、母親の恋愛と自らの出自の真実を探ったドキュメンタリー「物語る私たち」が8月30日公開する。謎解きをするように亡き母親の人生をたどり、デリケートな問題を扱いながらも、家族のあたたかさにあふれた作品だ。サラ・ポーリーが撮影を振り返った。
元女優だった母親のダイアンは明るいムードメイカーで、恋愛にも奔放だったが、最初の結婚に失敗し、親権を取ることができなかったことで追い目を感じていた。その後、サラの父となるマイケルと出会い再婚。末娘のサラは、父マイケルに似ておらず、家族もそれをジョークにしていた。ダイアン亡き後、サラは家族や母を知る人々にインタビューを敢行しその人生と自分の出生の秘密を探り出す。
「私たちは人生に意味を見出すのに物語に頼ります。そのことは非常に人間的な衝動なのだ、と。そういうことに興味があったんです。でもこの映画を作る作業は、むしろ“なぜ作るのか”ということ自体を発見する過程でした。父からは、真実と記憶のはかなさについての映画を作りたいのか、と聞かれました。私が感情的な衝撃を避けていたから。鋭いです。でも実際、調査中の事件に直接さし響く当事者ではなく、人生を捜査する探偵になろうとしたのは、面白い作業でした」と振り返る。
しかし題材があまりにも自身の生活と近いもののため、苦労は絶えなかった。「気づかずイライラが潜在下に入り込んだのかもしれません。実の家族、母親の死、子どもを奪われた母親……。そんなフッテージばかりを何時間も編集室で見続けていたから。映画づくりがこれほど消耗するものとは、思ってもいませんでした。何度も辞めたいと思いました」と当時の心境を吐露。5年に及ぶ本作の製作期間を一時中断してミシェル・ウィリアムズ主演の「テイク・ディス・ワルツ」を発表した。
苦労を重ねた本作だが、家族や友人が物語るイメージから描かれる母ダイアンの姿はとびきりチャーミングだ。「母は、昔ながらのスターでした。母が現れると部屋が明るくなりました。ダイナミックで快活。母を知る誰もが、個別な彼女を発見していました。母はとんでもなく寛容で、自分を差し出してしまうタイプ。私はこの映画を作ることで、母をより深く知ることができました。ある意味、だから映画を作ったのかもしれません。だって、あれほどつらかったのに、なぜやめなかったのか? 唯一考えられるのは、20年前に亡くなった母親との親密なつながりを追求したかったから。当然、母は私の人生で神話的な存在です。ですが他の人にとっても、母は人並み以上の存在だったのだと知りました」
「物語る私たち」は、8月30日から渋谷ユーロスペースほか全国で順次公開。
(C)2012 National Film Board of Canada
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