市川由衣「女優人生をかけた」主演作完成披露で感極まる
2014年8月25日 20:30

[映画.com ニュース] 作家・中沢けい氏のデビュー作を30年以上の時を経て映画化した「海を感じる時」の完成披露試写会が8月25日、東京・テアトル新宿で行われ、主演の市川由衣、共演の池松壮亮、安藤尋監督、原作者の中沢氏が舞台挨拶に登壇。濃厚なラブシーンにも体当たりで挑んだ市川は、「女優を始めて14年、私の女優人生をかけた作品。恵美子という役にほれ、覚悟を決めて挑んだので感無量」と胸を張った。
1978年に当時18歳の現役女子高生だった中沢氏が発表し、スキャンダラスな作品として話題を集めた第21回群像新人賞受賞作。愛を知らない女子高生・恵美子(市川)が、先輩の洋(池松)に愛されたい一心で体を重ね続け、次第に女へと目覚めていく姿を描く。
市川は、“性”を通じて大人の女へと成長していく恵美子を「痛い女だなと思ったけど、その痛さが女性として共感できた。裸になることに悩みもあったけど、この役をやらなかったら後悔すると思った。他の役者さんがこの役をやっているところを見たくなかった。今の自分にできることはやれたと思う」と渾身で向かい合った。
池松は、「原作が生まれてから相当な年月が経ち、転がり続けてたまたま僕のところに来た。もうこれはやるしかないなという感じだった。市川さんも相当な覚悟だったと思う」と市川の女優魂に敬意を表した。市川も池松との共演を振り返り、「色っぽかったり、すごく寂しそうな目をしていたり。すごく魅力的で、これは惚れるなって思う部分がたくさんあった」とほれぼれ。さらに、「池松さんは“前貼り”をすることが多いので、尊敬の意を込めて“前貼り先生”と呼んでいた」と裏話を明かし、笑いを誘っていた。
「blue(2001)」「僕は妹に恋をする」など繊細な心理描写に定評のある安藤監督は、市川のキャスティングの決め手を「とても明るいところと下手にこびないところ。僕が選ぶというより、市川さんがこの映画を選んでくれた」と感謝。中沢氏も、「30年ほど前にクランクイン寸前まで話が進んだけれど、私が『ダメ!』と言ってパーにした」と明かしながら、「今回は全然邪魔していない。市川さんと池松さんが生まれてくるのを待っていてくれてありがとう、という気持ち」とキャスト陣を絶賛した。
また、本作のエンディング曲「泣くかもしれない」を歌うMOTEL(須藤もん&対馬照)が同曲を生披露すると、市川は「この曲はずっと心の支えだったので感動しちゃった」と感極まって涙ぐんでいた。
「海を感じる時」は9月13日より公開。
(C)2014「海を感じる時」製作委員会
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