結婚式ビデオに映画無断使用、違法性周知へ

2014年5月30日 23:45


[映画.com ニュース] 結婚披露宴会場で上映される新郎・新婦のプロフィールビデオなどに、映画のシーンが無断で使用されるケースが多発していることを受け、日本国際映画著作権協会(JIMCA)が違法性の周知活動に乗り出した。

発端は、ある洋画メジャー会社からの相談。正規のライセンシーからの訴えを受けて、JIMCAに話が持ちかけられた。栗原英明調査本部長は「認知しづらい分野だったが、調べてみると膨大な本数がインターネット上でアップされていた。ブライダルビデオ制作会社が、映画の1シーンを無断で使用して制作した映像をユーチューブにアップし、自社のホームページにも載せていた」と説明する。ほとんどは個人で運営しているような零細企業だという。

最も多く見られるのは、オープニングロゴの無断使用だ。20世紀フォックスのファンファーレをはじめ、洋画メジャーは全社使われていたという。「NO MORE 映画泥棒」のカメラ男や、「踊る大捜査線」も目立ち、新郎・新婦へのお祝いメッセージビデオとして、「パイレーツ・オブ・カリビアン」のジャック・スパロウのセリフに勝手に日本語字幕を付けた映像なども存在している。

昨年、被害を受けた映画会社から4つの違法業者に警告書を送ったが、ブライダル業界全体での認知をより高めるため、JIMCAが業界団体「公益社団法人 日本ブライダル文化振興協会」に対し、コンプライアンスの徹底を要請。同団体のホームページで注意喚起を促すなどしている。さらに、業界専門紙「ブライダル産業新聞」(1万2000部)でも大々的に取り上げられた。また、6月に同紙が実施するセミナーでも、栗原氏が登壇して説明を行う予定だ。

ビデオ制作会社だけでなく、違法映像を上映する会場にも責任が及ぶ場合があるため、ここにも違法性の認知拡大が必要不可欠だ。ただ、日本ブライダル文化振興協会の会員にはホテルや式場が多く、近年増加傾向にある結婚パーティーに対応するレストラン、およびビデオ制作会社の数を把握し、網羅するのは難しいのが実状。今後も地道な啓発活動が求められる。

著作権を侵害すると、「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、又はその併科法人に罰金刑が科せられる場合には罰金の上限は3億円」が科せられる場合がある。栗原氏は「窃盗罪よりも重く、初犯でも起訴されるのが著作権侵害。ブライダルビデオでも、場合によっては刑事告訴していく」との姿勢を示している。(文化通信)

【映画.com×文化通信】

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