メキシコの鬼才カルロス・レイガダス、カンヌ受賞作「闇のあとの光」を語る
2014年5月29日 14:45

[映画.com ニュース] 現代のラテンアメリカのアート映画をけん引するメキシコの鬼才カルロス・レイガダス監督の「闇のあとの光」が、5月31日から公開される。第65回カンヌ映画祭で監督賞を受賞した本作は、圧倒的な映像美と数々のメタファーに満ちており、その強烈な表現から、カンヌ上映後は賛否両論を巻き起こした。レイガダス監督が作品について語った。
映画はメキシコのある村に住む一家のもと、悪魔とも神ともとらえることのできる赤く発光した“それ”が訪問したことで、村人たちの心の闇があらわになり、平和な生活の歯車が狂いだしていく様を描く。
「私は映画を作る時、自分が何を感じ、何を考え、何を想像しているのかを伝えようとします。幸運なことに、それをするにあたって制限は存在しません。あるのは私自身の制限だけです。私には制限はありますが、それでも完全に自由だと感じています」と、自分の心のままにつくられた作品だと説明する。
タイトルにもある「光」については「『闇のあとの光』という表現は、劇中で主人公が経験することを完璧に言い表していると思いました。多くの人の人生がそうであるように、主人公の周りにはあまり光がありません。しかし最終的に彼は何かを見つけ、すべてのものが光り輝いていると言います。このモチーフを私はとても気に入っています。同じことを素晴らしいかたちで描いているのがトルストイの『戦争と平和』です。『戦争と平和』は私が今まで読んだ中でもっとも美しい小説です。インスパイアされたと言えるかもしれません」と語る。
(C)No Dream Cinema, Mantarraya Productions, Fondo para la producci'on Cinematogr'afica de Calidad (Foprocine-Nexico), Le Pacte, Arte France Cinema日本ではこれまで本作を含めた長編4作品が東京国際映画祭で上映されたが、劇場公開は本作が初。カンヌの審査委員、各国の批評家の心を捉えたが、過去や未来や夢や幻想が一体となった唯一無二の作風を観客が平易な言葉で表現するのは困難だ。
「私が望むのは、これが力のある映画であってほしいということです。なぜなら要約できるものではないから。簡単に要約できるなら、(映画を見ないで、資料に載っている)あらすじを読めばいい。映画を見て、気に入った。それで充分です。映画から何かを受け取ったなら、それは素晴らしいこと。映画があなたに向かって何かを訴えかけた。その事実が何よりも重要です。それはまた私にとって最高の褒め言葉でもあります」
「闇のあとの光」は、5月31日からユーロスペースほか全国順次公開。
(C)No Dream Cinema, Mantarraya Productions, Fondo para la producci'on Cinematogr'afica de Calidad (Foprocine-Nexico), Le Pacte, Arte France Cinema
Amazonで関連商品を見る
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
人生にぶっ刺さる一本
【すべての瞬間が魂に突き刺さる】どうしようもなく心が動き、打ち震えるほどの体験が待っている
提供:ディズニー
ブルーボーイ事件
【日本で実際に起きた“衝撃事件”を映画化】鑑賞後、あなたは“幸せ”の本当の意味を知る――
提供:KDDI
プレデター バッドランド
【ヤバすぎる世界へようこそ】“最弱”ד下半身を失ったアンドロイド”=非常識なまでの“面白さと感動”
提供:ディズニー
あまりにも凄すぎた
【“日本の暗部”に切り込んだ圧倒的衝撃作】これはフィクションかノンフィクションか?
提供:アニモプロデュース
盤上の向日葵
【「国宝」の次に観るべき極上日本映画に…】本作を推す! 壮絶な演技対決、至極のミステリー、圧巻ラスト
提供:松竹
てっぺんの向こうにあなたがいる
【世界が絶賛の日本映画、ついに公開】“胸に響く感動”に賞賛続々…きっとあなたの“大切な1本”になる
提供:キノフィルムズ