北川景子「悪夢ちゃん」で再認識した“女優業”の醍醐味
2014年5月2日 13:15
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[映画.com ニュース] 「こだわり」を持った生き方が尊ばれるいまの世の中で、北川景子はこだわらない。「女優だからこうでなくちゃいけないとか、きれいな姿しか見せたくないという意識は全くないです」。2月に公開された「抱きしめたい 真実の物語」ではノーメイクの顔を歪ませ泣き叫ぶ姿を躊躇なくさらした。「悪夢ちゃん The 夢ovie」(5月3日公開)のプロモーションの一環で「ももいろクローバーZ」に電撃加入し、“きもクロ”の一員として激しいパフォーマンスを披露している。(取材・文・写真/黒豆直樹)
北川に話を聞いたのは、事務所の後輩でもある「ももクロ」と参加したイベントを終えたばかりのタイミング。ドラマ版の主題歌に合わせ、20歳前後の後輩たちに何ら引けを取らないキレのあるダンスを披露する姿は、いわゆる“モデル出身のクールでスタイリッシュな若手トップ女優”のイメージからはかけ離れている。これが北川の女優としての覚悟? 主演女優の責任感? そんなこちらの問いに「いやいや(笑)、というか私自身、楽しんで乗っかっていますから!」と屈託のない笑みを浮かべる。
気づけばデビューから10年が経った。「現場での立ち居振る舞いやルールを覚えて、少しは余裕が出てきたかもしれない。それは昔と比べ一番変わったところ。でも作品への姿勢や仕事に対する考え方はあまり変わってない」という。
「出会いに導かれてこの仕事をしていますが、私の仕事はお芝居をして、作品を通じて世の中に何かを問いかけたり投げかけたり、感動を届けること。10代の頃からむしろ、そのことだけをシンプルに追いかけてきた。伝えたい、驚かせたい、楽しませたいと思って1日1日を過ごして、いつの間にか365日が過ぎて、それが10年になって、いまがある感じですね」
そう、出しうる全てを出し切ることは、北川にとって「こだわり」ではなく「当たり前」のこと。その結果が現在の目覚ましい活躍だが、それにしても凄まじい。昨夏の「謎解きはディナーのあとで」以降、「ルームメイト」「ジャッジ!」「抱きしめたい」と続き、今回の「悪夢ちゃん」と全て主演もしくはヒロイン。決して“ブーム”ではない。常に周囲から求められる存在となってきた。
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忙しさに目が回ることは? という問いに、即座に「ないです」とかぶりを振る。「仕事がない時期に『消えてしまいたい』と思ったことはありますけど(笑)。いまは忙しければ忙しいほど楽しんで仕事をしていますね。そういう意味でもすごくいい時期なのかもしれません。デビューしたばかりの右も左も分からずに緊張ばかりだった頃と比べると、緊張感と楽しむ余裕が共存して、馴れ合いではなく仕事に臨めているのかなって思います」。
年齢とキャリアを重ねる中で、演じる役柄が変化してきたことも実感している。「いろんな役と一緒に自分も成長できた10年だったのかもしれない」と北川。本作で演じているのは小学校教師の彩未。連ドラ当初は表向き、優しい理想の教師を演じていたが、クラスの児童たち、過去の自身と向き合うことで、取りつくろうことなく子どもたちと接するようになっていく、まさに回を重ねるごとに大きな成長を遂げていく主人公である。
「役というものは向こうから、いまの自分に足りないものを携えて舞い込んできてくれるものなのかもしれないなと感じます。やっぱり私自身が未熟な頃は、“腰掛け”の教師や刑事の役が多かったんです。『いまのあんたにはこれが必要なんだよ』って役の方から飛び込んできて、考えさせてくれるというか。この仕事が、監督や共演者のみなさんとの出会いはもちろんですが、やはり一番大きいのは役との出合いなんですね。今回も連ドラからSPドラマ、映画と彩未先生と一緒に成長できたと思う。役がこっちに向かってきて、挑んでくるけど、そこでその役の人生を歩み、一緒に生きることで成長する――それはこの仕事の醍醐味ですね」
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