チャン・ジュナン監督、キム・ユンソク&ヨ・ジング共演サスペンスで挑んだ不条理
2014年4月18日 13:36

[映画.com ニュース]ある日、ひとりの幼い少年が誘拐された。少年はそのまま5人の凶悪強盗犯に育てられ、自分を守るため過去の記憶を封じる――なぜ、彼らはこのような行動に及んだのか。サスペンス「ファイ 悪魔に育てられた少年」でメガホンをとったチャン・ジュナン監督は、「人間の不条理を描きたかった」と語る。「チェイサー」のキム・ユンソク、若手俳優ヨ・ジングらに強烈なキャラクターを託し、いかにして心の闇をとらえたのだろうか。
「地球を守れ!」「LOVE FOR SALE」とユニークな世界を構築してきたチャン監督が、オファーを受けてから1年かけて脚色。これまでとは異なるアプローチで、物語をふくらませた。「人間に潜む悪、不条理や弱さを考える時間となる映画をつくりたいと思っていました。(オファーを受けた)シナリオを読んで、非常にジャンル的でハードな内容ではあるけれど、人間の本質や極限状態を掘り下げていく器としての物語があると感じました」
絶対的な悪で人々を支配するリーダーのソクテを中心に強盗団を結成する、カーチェイスのエキスパート・ギテ、インテリの犯罪プランナー・ジンソン、スナイパーのボムス、残酷な殺人鬼のドンボム。5人は生々しい狂気を感じさせると同時に、ファイをめぐり葛藤(かっとう)する姿からは父親としての愛がにじみ出ている。そんな悪とともに暮しながら、ファイは無垢な心を持ち続ける。

オーディションで抜てきされたヨ・ジングは、「大人でも消化するのが大変な役」に挑んだ。テレビドラマ「太陽を抱く月」の好演が話題を呼んだ注目株だが、本作の撮影時は弱冠15歳。ポストプロダクションでは、ファイの分身である怪物の声にも挑戦しているオーディションに現れたヨ・ジングは、「演技への取り組み方」で強烈な印象を残したという。「子役からやってきた俳優は演技のパターンやクセがつきものですが、彼にはまったくありませんでした。ストレートにまっさらな状態で、役と向き合う力を持っていました。長いキャリアを積むと凝り固まってしまう部分がありますが、彼はとても柔軟で、彼がファイを演じたことで、キャラクターがより強固になったのだと思います。彼は相手役の俳優がいい演技をするほど、スポンジのように吸収して自分のものとして表現していました」
そんなヨ・ジングの前に立ちはだかるソクテを演じたのは、カメレオン俳優キム・ユンソクだ。「キム・ユンソクさんには韓国の父親らしさというものがあったので、集団のリーダーを演じるは誰だろうと考えたときに、パッと浮かびました」。ソクテという人物の内面では、冷酷な支配欲、暴力的な愛情が渦巻いている。「単純な悪人ではなく、問題を自覚している複合的な人物をユンソクさんと一緒につくっていくのであれば、素敵なキャラクターに仕上がるのではないかという思いで演じてもらったのですが、期待以上に素晴らしい演技を見せてくれました。この作品はファイがたどっていく道を描いた物語ですが、一方ではソクテの物語でもあります」と語った。
チャン監督は、強盗団と捕らわれた少年の関係というスリリングなテーマで、人間の不条理とともに歪んだ愛をあぶり出した。「人間は時に人を傷つけ、欲望に忠実になり、戦争を起こすことあります。そういった悪と一緒に、人間はひとりでは生きていけないという矛盾、不条理を抱えていると思います。この作品では、誘拐した子どもを殺そうと考えていた父親たちが、子どもとの関係によって断絶していた社会との綱、人間らしさや愛情の欠片を感じていく。そこで形づくられていくアイロニーを描いているのです」
「ファイ 悪魔に育てられた少年」は、4月19日から全国で公開。
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