サヘル・ローズ「レイルウェイ」ティーチインで学生に熱弁「許すことは大切なこと」
2014年4月14日 18:05
[映画.com ニュース] 第2次世界大戦時に日本軍の捕虜となった英国人兵士エリック・ローマクス氏と、当時の日本軍通訳・永瀬隆氏の実話を映画化した「レイルウェイ 運命の旅路」の学生向け試写会が4月12日、永瀬氏の母校である東京・青山学院大学で行われ、イラン・イラク戦争を経験したイラン出身タレントのサヘル・ローズと、瀬戸内海放送記者の満田康弘氏がティーチインに出席した。
原作は、1995年の「エスクァイア」誌ノンフィクション賞を受賞したローマクス氏の自叙伝。元兵士のエリック(コリン・ファース)は、捕虜として過酷な鉄道建設に狩り出された体験を胸に秘めながらも、愛する妻パトリシア(ニコール・キッドマン)と幸せに暮らしていた。しかし、当時建設現場にいた日本人通訳の永瀬(真田広之)が悲惨な戦争体験を後世に伝えるためタイに滞在していることを知り、つらい過去と向き合うため永瀬に会いにタイへと向かう。
イラン・イラク戦争によって家族を失ったローズは、「小さかったので鮮明には覚えていないけれど、体が覚えている。戦争はもう終わったんだと頭で理解しても、フラッシュバックが戻ってくる。そんな思いを言葉に出せずに苦しんでいる人はたくさんいると思う。戦争は人の心まで壊してしまうもの」と戦争の悲惨さを訴えた。本作を鑑賞し、「許すことはすごく大切なことだと心を打たれた。トップの命令により、武器を持って相手を押し付ける方にも罪悪感が残り、両方が被害者になる。本来ならば永瀬さんの(タイでの)活動は国がすべきこと。日本は今平和の中にいるけれど、決して他人事ではない」と切実に語った。
長年にわたり永瀬氏を取材してきた満田氏は、「彼が亡くなった後ではあるけれど、この和解が映画によって多くの方に知ってもらえるのはありがたい。泰緬鉄道の建設では数えきれないほど多くの犠牲者が出た。原作はイギリスではベストセラーでよく知られた話だけど、日本では歴史的事実さえもあまり知られていない」と現状を危惧した。学生からどのように歴史と向き合えばよいかと質問されたローズは、「罪悪感やマイナスなことだけにとらわれず、自分の国に対して関心を持ち、日本人であること誇りに思ってほしい。日本国憲法第9条は戦争を起こさないという素晴らしいもの。新たな日本を作る次世代に、ぜひ守っていってほしい」と熱く語りかけた。
「レイルウェイ 運命の旅路」は4月19日から全国で公開。
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