押井守×真野恵里菜 2014年、なぜ「パトレイバー」は再び立ち上がったのか?
2014年4月4日 12:40
[映画.com ニュース] 昨年3月の「東京国際アニメフェア 2013」でのアナウンス以来、大反響を呼んだ「機動警察パトレイバー」完全オリジナル新作の実写化プロジェクトが2014年、ついにその全ぼうを明らかにする。その先陣を切るのが、4月5日から全国の劇場でイベント上映される「THE NEXT GENERATION パトレイバー 第1章」。物語の主役である“特車二課”の歴史と現在を描くイントロダクションだ。なぜ、パトレイバーは再び立ち上がったのか? シリーズ全7章のイベント上映&来年GW公開の長編劇場版まで、1年以上の歳月をかけて物語られる意図とは? 総監督を務める押井守と、ヒロイン・泉野明(いずみのあきら)役に大抜てきされた真野恵里菜が思いを語る。(取材・文・写真/内田涼)
1988年の発表後、コミック、アニメ、小説と多彩なフィールドで展開した「パトレイバー」シリーズを語る上で、長年アニメシリーズの演出を手がけた押井監督はハズせない存在。その押井監督が総監督に立った実写化プロジェクトに、ファンの間では「待ってました!」と歓迎する声と、「なぜ今なのか?」と首をかしげる意見が交錯しているのではないだろうか。
「2本目のアニメを作った時点で『これで終わり』だと思っていたし、もう一生やることもないだろうと。そもそもテレビからかかわって、付き合いも長かったから、飽きちゃったという気持ちもあった」と押井監督。“2本目のアニメ”とは傑作の声も高い「機動警察パトレイバー2 the Movie」(93)のこと。その後、小説の執筆やギャグ満載の短編「ミニパト」こそあったが、シリーズへの思いはいったん断ち切れた状態だったという。「時間が経ち過ぎているよね」(押井監督)。
ただ「時間が経ち過ぎている」からこそ、押井監督が今再び「パトレイバー」と向き合う結果になったのも事実だという。「なぜ今かって疑問に答えるとしたら、自分がどうこうじゃなくて、やっぱり周りの環境が大きく変わったんだと思う。言ってみれば、一回自分が終わらせたものでもあるから、昔のままを実写化してくれと言われても、それはできない。でも時代や環境に即したアレンジであれば、そこに自分が(総監督を)やる必然も見えてくる。そうでなければ、違う監督がやるべき話だから」
アニメや漫画を原作にした実写映画が公開されるたび、キャスティングに対して厳しい意見が噴き出す昨今。主演を務める真野の重責は、想像に難くない。「私が生まれる前にスタートし、たくさんのファンに愛される作品ですからね。正直不安は大きかったですけど、これも何かの縁なので真正面から向き合うしかないなと思いました」(真野)。いざ、千葉県内の倉庫に作られた特車二課のセット(そこには全長約8メートルの実物大パトレイバーの姿も)で約半年間に及ぶハードな撮影が始まると、悩みや戸惑いを感じる隙はなかったという。
「毎日、特写二課に通う明の日常と、現場に通う私の現実が完全にリンクしていましたね。現場にマネージャーさんがいたのも、クランクイン当日だけ。私から『ひとりで大丈夫です』ってお話しして。それも明を演じる上で、すごく良かったですね」。共演した太田莉菜をのぞくと、現場は男だらけの汗くさい“戦場”だったが「早くなじみたかったので、自分から積極的にコミュニケーションをとるようにしました。ふだんは人見知りですけど、そんなことも言っていられませんし。撮影が終わった後、友人から『久しぶりに会ったけど、すごく明るくなったね』と言われて。撮影中は気づきませんでしたが、きっと時間をかけて、自然と明になれたんだと思います」と胸を張った。
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