デヴィ夫人、インドネシア大虐殺の真実を暴いた米監督に感謝「真実は必ず勝つ」
2014年3月25日 21:35

[映画.com ニュース] 1960年代のインドネシアで行われた大量虐殺を加害者側の視点から描いたドキュメンタリー映画「アクト・オブ・キリング」の試写会が3月25日、都内で行われ、インドネシア元大統領夫人のデヴィ・スカルノと来日中のジョシュア・オッペンハイマー監督が対談した。
1965年に起きた軍事クーデター「9・30事件」により、“赤狩り”と称した100万人規模の大量虐殺がインドネシアの全土で行われた。当局から被害者への接触を禁止されたオッペンハイマー監督は、取材対象を加害者側に切り替え、映画製作という名目で過去の虐殺行為を本人たちに再現させるという前代未聞のアプローチで、人類に潜む闇に迫った。
夫スカルノ氏を失脚させ、自身も亡命するきっかけとなった9・30事件を振り返ったデヴィ夫人。当時は宮殿に潜んでいたといい、「川の中に何分隠れていられるか、走ってどれくらいで庭を突っ切れるかなどを考えながら、毎晩ズボンをはいて寝ていた。護衛官もいつ裏切るか分からないし、味方なのかスパイなのかも分からない。人間って何も食べないで眠らなくてもこれだけ生きられるんだと知った」と壮絶な体験を明かした。
オッペンハイマー監督は、デヴィ夫人との対話は「言葉で表せないくらい感動してる。この場に駆けつけてくれたことを光栄に思う。デヴィ夫人は大虐殺を経験した生存者でもある」と最敬礼。デヴィ夫人も、「虐殺が事実だと証明されてうれしく思う。監督の偉業には心から感謝。(故スカルノ元大統領には)やっと真実が明かされ、あなたの汚名をそそぐひとつのきっかけになったと報告したい。真実は必ず勝つと信じていた」と語った。
娘に勧められて本作を鑑賞したというデヴィ夫人は、「虐殺をした人間がそれを自慢するという神経は、非常に異常なこと。恐ろしさに身震いした」と衝撃を受けていた。そして、「スカルノは共産主義だったわけではなく、当時のアメリカとロシアの勢力に対抗するべく、アメリカの基地を拒否し、アジア・アフリカなどの中立国家たちと第3の勢力を作ろうとしていただけ。そのためホワイトハウスやペンタゴンから憎まれ、5回ほど暗殺を仕掛けられたけれど神のご加護か助かった。大虐殺に国連が全く動かなかったのは、国連がアメリカの影響下にあったことを裏付ける証拠」と訴えた。
オッペンハイマー監督は、「『映画を楽しんで』とは言えないけど、大いに笑ってくれていい。映画を見たインドネシアの人たちも、感動しながら笑っていた。作品に込めたユーモアは意図的なもの。笑いは人が生き延びるためのもの、人をいやすためのものだから。魔法のような時間を過ごしてほしい」と客席に語りかけた。
「アクト・オブ・キリング」は4月12日から公開。
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