綾野剛、ネガティブPRも主演映画「そこのみにて光輝く」に「何かが残ってくれれば」と自信
2014年3月3日 19:47
綾野は、「アンダーな作品なので、舞台挨拶には向いていないんですけれど」と自ちょう気味に語りながらも、「皆さんに感謝の気持ちを伝えたくて」と語ると盛大な拍手を浴びた。だが、続けて「舞台挨拶では楽しんで、見た後の帰りはどんよりしてください」とネガティブなアピールをすると会場は大爆笑だ。
それでも、「脚本を3行読んで参加したいと思った」というほど思い入れは強く、愛することを捨てながら1人の女性を愛し抜く主人公・達夫を熱演。「今までの役へのアプローチでは難しいけれど、やってみたかったし挑戦できることがうれしかった。映画の定義は分からないけれど、こういう映画が年に1、2本あってもいい。何かが残っていく作品になってくれれば」と自信のほどをアピールした。
相手役の池脇、呉監督にも「敬意を表して、腕白にスクスク育っていることが格好いい」と独特の表現で賛辞を惜しまない。「池脇さんは、同い年なのに重鎮のオーラが出ていて、俺と将暉は孫みたいだった。監督も、ディープな作品なのに“テヘペロ”とかやって天真らん漫だった」と暴露気味に振り返った。
愛されることに不器用なヒロインを演じた池脇も、脚本にほれ込んだそうで「見ていただければ分かるけれど、本当に女性なら共感できる。吹っ切れて、脚本を信じてぶつけていけば納得してもらえると思った」と手応え十分の様子。綾野に対しては、「ものすごく積極的で、共演者やスタッフとの交流をやってくれて、作品を高み昇らせてくれた」と最敬礼だ。
第3作となる呉監督は、「クランクインしてから、シーンごとにそれぞれの気持ちを話し合い、リハーサルを重ねて現場で生まれるものを大切にしていった」と強調。そして、「撮影半ばになる前に、それぞれが役を演じているのではなく役になっていた。逆に教えられるような初めての感覚で、監督の役目として幸せだった」とキャストを称えていた。
「そこのみにて光輝く」は、不遇の作家と言われ41歳で自ら命を断った佐藤泰志氏の最高傑作といわれる同名小説を映画化。悲痛な過去にとらわれた達夫が、北の町のパチンコ店で拓児、さらにその姉・千夏と出会うことによって、現実世界で生きることを希求していく姿を描く。4月12日からロケ地となった北海道・函館で先行公開。同月19日から東京・テアトル新宿など全国で順次封切られる。