松山ケンイチ&内野聖陽、震災後の福島と向き合った「家路」への思い
2014年2月28日 16:25

[映画.com ニュース]初共演となるこのふたりが少し年の離れた兄弟を演じると聞いて、不思議と腑(ふ)に落ちた。松山ケンイチと内野聖陽。何かが似ている。顔立ち? 大河ドラマ主演という共通の経験? 否、役者として地に足がついているところ、どこか“土”の匂いがするところではないか。そしてそれは、東日本大震災後の福島の現実に向き合う一家の姿を描いた「家路」という作品にとって、何よりも重要な要素だったと言える。ふたりはどのように故郷、家族に向き合い、登場人物の葛藤を体現し、やがて対面を果たすに至ったのか。(取材・文・写真/黒豆直樹)
かつて10代で故郷を去り上京した次郎は震災後、福島へと戻り、立ち入り禁止区域にある我が家で自給自足の暮らしを始める。兄の総一は、妻・娘と共に仮設住宅で無力感に襲われながら悶々とした日々を過ごしていた。やがて次郎の帰郷は総一の知るところとなり、否応なしに兄弟は“過去”と向き合うことになる。

ある事件から村を出て再び舞い戻った次郎と、故郷で守り続けてきた田畑を失った総一。10数年を経て対峙したふたりは、言葉ではなく拳を交わし、激しくぶつかり合う。内野は「見る人それぞれの答えがあるでしょうが……」と前置きし、その瞬間の総一の心情をこう代弁する。
「総一は会いたくなかったと思う。かつて自分の代わりに故郷を出て行った弟であり、毎日、農業に勤しみながらも二度と現れてくれるなと思っていたんじゃないかな? 会えば過去に封印した引け目や罪悪感と向き合わなくちゃいけない。それまでもいろんな厳しい局面で『次郎ならうまくやってたかな?』と感じることもあったと思う。そんな屈折した思いを抱えているのに、その弟が自分の捨てた田畑を耕してやがるっ、てところでブチ切れたんだろうね(笑)。『土地を守るってのはそんな簡単じゃねえ!』って思いもあったろうし、兄弟の再会の“通過儀礼”だったのかな」
松山は「ふたりが抱えている問題は結局、同じなんですよ」と語る。
「いろんな束縛から自由になりたいという思いもあって、次郎は東京へ行ったけど、それは結局、家族から逃げたというだけで何も解決していなかったんだと思う。次郎にも東京にいる間ずっと、葛藤があったろうし、兄を利用して自分だけが逃げたという罪悪感もあったと思う。そういうものを全て吐き出すきっかけがあのぶつかり合いなんだと思います」
「家路」は、3月1日から全国で公開。
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