瀬々敬久監督、先輩・佐藤寿保監督の新作「華魂」を絶賛「素晴らしい映画」
2013年12月20日 19:45
[映画.com ニュース] 鬼才・瀬々敬久監督の「ヘヴンズストーリー」のアンコール上映及び、瀬々監督とともに“ピンク四天王”の1人に数えられる佐藤寿保監督の最新作「華魂」の公開記念イベントが12月19日、東京・新宿K'sシネマで行われ、瀬々監督と佐藤監督、「華魂」の脚本家・いまおかしんじがトークショーを行った。
「華魂」は、壮絶ないじめに苦しむ女子高生の復しゅうを過激に描いたインディペンデント映画。ピンク映画時代、佐藤監督の助監督だったという瀬々監督は、「『華魂』は素晴らしい映画」と先輩を称えながら、「自主映画は誰から頼まれるわけじゃなく、自分が発信したくて作るもの。ピンク映画よりもハードルが高い。みんなの支えがないと伝わらないし、たった1人でも見てほしいという気持ちで作る。ある意味、それがインディペンデントの強み」と熱論。佐藤監督は、「映画を撮ることは犯罪行為と同列。映画の世界は、非常識なことが常識だったりする。『華魂』は一般の劇場では見られない刺激的な映画!」と猛アピールした。
全9章4時間38分の長尺で描いた群像ドラマ「ヘヴンズストーリー」は、公開から3年が経つ現在も映画ファンの間で根強い人気を誇り、今年で4回目のアンコール上映を迎えた。インディペンデント映画ながら、村上淳、吹越満、光石研、津田寛治、佐藤浩市、柄本明ら豪華実力派俳優が集結した。佐藤監督は、「当時のピンク映画なんて10人入って1人残ればいい世界だったけど、瀬々は頭でっかちで真面目だった」と当時を述懐しながら、「デビュー作の根幹から変わらない、瀬々らしい映画だと感銘を受けた」と称賛。1週間前に女児を授かったといういまおかも、「昨日3年ぶりに見た。子どもが生まれたからか見方が変わった」と新たな発見を明かした。
第61回ベルリン国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞するなど、本作で一躍その名を世に知らしめた瀬々監督は、「2006年に企画を立てた。その時は、このままじゃ監督人生がやばいなと感じていた。そういう熱はあった」と転機となった代表作をしみじみ語った。