ベルイマンの唯一無二のパートナーだったリブ・ウルマン、巨匠と思い出を語る
2013年12月6日 16:40

[映画.com ニュース] スウェーデンの巨匠イングマール・ベルイマンと、公私共にパートナーになった大女優リブ・ウルマンの愛と友情を映したドキュメンタリー「リヴ&イングマール ある愛の風景」(ディーラージ・アコルカール監督)が12月7日に公開する。巨匠との思い出、撮影の様子をウルマンが振り返った。
1964年「仮面/ペルソナ」で恋に落ちた二人は5年間共に暮らし、娘を授かった。その後、カップルとしては破局を迎えたが、40年にわたって友情を分かち合う唯一無二の関係を築きあげる。本作では、撮影模様や数々のベルイマン作品の場面を挿入し、2007年に89年の生涯を閉じたベルイマンへの思いを、ウルマンはまるでラブレターを綴るように語る。
ベルイマンとの関係や実生活について率直に語るウルマンの姿に心を打たれるが、カメラの前で赤裸々に語ることに抵抗はなったのだろうか。「抵抗はありませんでした。だってそれは私の人生だから。そして私の人生は他の人と、他のやり方で、非常に似ていると感じたからなのです。監督と役者の関係ではなく、人と人の関わり方として、誰もが同じものを感じられるからです」と話す。

撮影時に一番記憶に残っていることは、映画の後半で出てくる、イングマールが幼少期から大事にしていたテディベアの中にウルマンが書いた手紙が残っていたというエピソードだ。「その手紙は、私にとってそんなに大きな意味のあるものではないものだったのですが、それを彼がテディベアの中に入れているということは知りませんでしたので、とても胸を打たれました。一生忘れることはない記憶だと思います。だってそれは愛だもの。それは私が生きていた意味ですし、こんなに生きていたんだと、あるいは誰かにとって自分の存在はこんなにも生きていたんだと感じることができるから」と特別な思いを語る。
完成した本作を見て、イングマールへの思いは「変わりませんでした」ときっぱり。そして、「この映画からは幸せを感じることができました。映画の中で、二人が物理的にすれ違ったり、イングマールに私が軽くほっぺたを撫でられていたりだとか、ブランケットを掛けてもらったり、私が彼にほほ笑みかけるというような場面を見て思ったのは、人は日常生活の中で、どのくらいその人に触れられているか、愛されているか、ということに気づかないことも多いんだな」ということでした。この映画を見たときに、本当に私たちの間には絆があるんだと感じました」と述懐した。
ウルマンは実は日本生まれで、2歳まで家族と暮らした経験がある。「日本という国にいると本当に居心地がよくて、故郷に戻ってきたような気がします。やはりそれは自分の生まれたところであり、生まれたところにその人のルーツが芽生えるからなのかな、と私は思っています」という。そして「この映画を見て感じてほしいのは、人はみなユニークであり、そして物語を分かち合っているということ。時を同じくしてこの世界に生きているということです。文化や宗教が違えど、心や魂でお互いを見ることができるはずだから。日本のみなさんにもぜひそのことを感じてもらえれば嬉しいです」とメッセージを寄せた。
「リヴ&イングマール ある愛の風景」は12月7日ユーロスペース他全国順次公開。
(C)NORDIC STORIES 2012
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