竹中直人、「天心」での奇抜衣装にも「何でも着こなせる」とハイトーンで自負
2013年11月16日 15:30

[映画.com ニュース] 日本の近代美術の礎を築いたとされる岡倉天心の生誕150年、没後100年を記念して製作された「天心」が11月16日、東京・シネマート新宿で封切られた。天心が本拠とし、ロケも行われた五浦(いづら)海岸のある北茨城市のホールで9月に先々行上映され連日満員の大ヒット。10月5日からの茨城県内で先行公開された後、待望の“上京”となった。
天心の半生を演じた主演の竹中直人は、「老化して夜も眠れなくなって、眠るのにも体力がいるようになった。今朝、久しぶりに二度寝をして起きたら、すがすがしい青空が広がっていた。こんな日に初日を迎えられてうれしい」と感慨深げ。特に五浦でのロケが印象深かったようで、「海の輝き、水の色合い、聞こえてくる音が全然違う。その空間で呼吸をできたことで楽しいひと時になった」と振り返った。
史実に合わせた独創的な衣装については、「独特でしたよねえ」と声を甲高くして感想。さらに、「普通じゃないですもん。ビックリした。でも、僕は何でも着こなせる俳優なんです。自分のことを尊敬しました」と胸を張った。
企画から5年を費やして完成させた松村克弥監督も、「ここに立っているのが光栄で夢みたい」と感無量の面持ち。そして、「茨城の人たちの協力があってこそできた映画。地域発の映画は多いが、この作品は全国に、来年には全世界に発信し天心という人が日本にいたことを知らしめていきたい」と意欲を語った。
また、天心直筆の掛け軸「可憐と…」がステージ上で一般に初公開され、登壇者全員で行われた即席の“お宝鑑定”で竹中は「100万円」と予想。実際は160万円で、180万円を提示した下村観山役の木下ほうかが最も近く、満面の笑みを浮かべた。
また、同作は東日本大震災で被災した茨城の復興支援映画としても位置づけられており、天心の弟子の横山大観、菱田春草らが学び、津波で流されてしまった六角堂を再建。この日は久保成人観光庁長官も駆けつけ、「文化遺産を未来に継承するためにも、全面的に応援し茨城復興の支援に役立てられればうれしい」と訴えていた。
「天心」は明治時代、廃仏き釈の政府方針に抗い、東京美術学校(現東京藝術大学)の校長に就任した天心が、大観、春草らを見いだし、新たな日本画の創造を目指していく姿を描く。この日の舞台挨拶には他に温水洋一、茨城出身で企画段階から参加していた渡辺裕之らも出席した。
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