J・ロシュフォール&C・カルディナーレ共演作「ふたりのアトリエ」F・トルエバ監督に聞く
2013年11月15日 15:00
[映画.com ニュース] 仏名優ジャン・ロシュフォール主演、イタリア映画界の大女優クラウディア・カルディナーレが共演するスペイン映画「ふたりのアトリエ ある彫刻家とモデル」が、11月16日から公開される。「ベルエポック(1992)」で知られる名匠フェルナンド・トルエバ監督に話を聞いた。
第27回ゴヤ賞で13部門にノミネートされた本作は、近代ヨーロッパを代表する彫刻家アリスティド・マイヨールにインスパイアされ、生きる希望を失っていた老彫刻家が、ひとりのスペイン人少女との出会いによって創作意欲を取り戻していく姿と、2人の心の交流を美しいモノクロームで描く。
自身もかつて画家になりたかったと話すトルエバ監督は、主人公である老彫刻家のマークに、マイヨールのほか何人もの芸術家の姿を投影させた。光を美しく表現する白黒の映像は、仏写真家アンリ・カルティエ=ブレッソンの作品を彷彿(ほうふつ)させる。「カルティエ=ブレッソンの写真もモデルにはしていますが、ブラッサイも含まれています。このふたりの写真家は、アトリエで作業をしている芸術家の写真を撮っていた方たちです。その写真の中にはピカソやマチスがあり、それらの写真からインスピレーションを受け、脚本家とこの物語を作ったのです」
仏語劇としたことについては「マイヨールがモデルだからというわけではなくて、主人公をフランス人と決めていたので、フランス語になりました」と説明。そして「フランコ独裁の間、スペインでは多くの本が発禁になっていたのです。ですから、私の第2言語はフランス語で、ほとんどの本や映画をフランス語で見たり、読んだりしていました。なので、ロベール・ブレッソンやフランソワ・トリュフォーらが私に大きな影響を与えています」とフランス文化との深いかかわりを明かす。
「最初からジャン・ロシュフォールを念頭においてシナリオを書きました。彼だけでなく、(モデル役の)アイーダやクラウディアに関してもそれぞれの役をお願いしようと思っていました」というように、キャスティングには深い思い入れがあり、先に公開されたヨーロッパでは批評家や観客からも好評を得た。「クラウディアはチュニス生まれなので、母語はフランス語なので言葉の問題は一切ありませんでした。私の世代ですと、彼女はものすごいアイドルで、みなが夢中でした。もう映画の歴史の一部として欠かせない人ですね」
今回初来日となった印象を「以前はすごく遠くて、まったく違う国のように感じていましたが、いざ来てみるとお隣の国のように感じています」と語り、「日本人の大監督は世界中で愛されていると思いますが、その中でもとりわけ小津安二郎監督や溝口健二監督は大好きです。14歳のときにはどんな監督かも知らず大島渚監督の『少年』という作品を見に行って、とても気に入りました。それがまるで昨日のことのように思い出されます」と幼少期から深く親しんだ日本映画の思い出を話してくれた。
「ふたりのアトリエ ある彫刻家とモデル」は11月16日全国順次公開。
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