真田広之の若き日を演じた石田淡朗「プレッシャーあった」
2013年10月19日 22:15

[映画.com ニュース]コリン・ファース、ニコール・キッドマン、真田広之らが共演する「レイルウェイ 運命の旅路」が10月19日、第26回東京国際映画祭にて上映され、ジョナサン・テプリツキー監督、日本人キャストの石田淡朗らが舞台挨拶に登壇した。
鉄道を愛し、かつて戦地へ赴いたひとりの英国人の自伝を映画化した本作。戦時中に日本軍の捕虜となり鉄道敷設作業に従事したときの記憶にいまなお苦しむ男が、当時の日本人通訳がタイで存命中と聞いて会いに行く決心をする。
石田は能楽師の家に生まれ、その後、渡英し現地の演劇学校で学び、現在も英国を拠点に俳優として活動中。本作では真田が演じた通訳・永瀬の若かりし頃を演じた。日本語での挨拶を自ら流暢な英語に翻訳しながら挨拶するなど、劇中だけでなくこの日も“通訳”として活躍。映画について「歴史やメッセージが詰まった作品になっています」とアピールした。
また現在、海外で撮影に入っているため帰国できなかった真田から観客に向けた手紙が託され、テプリツキー監督が読み上げた。過酷な歴史を描いた本作について真田は「世代や立場によって、様々なご感想がお有りかと思われます。それらも全て含めて、感じたままに語り合い、また、後々まで語り継いで頂ければ幸いです」とのメッセージを寄せた。
映画を見終わったばかりの観客からの質問が受け付けられたが、若き日の永瀬を演じる上での苦労を尋ねられた石田は「若い永瀬というだけでなく、若き日の真田さんを演じるということにプレッシャーや難しさはありました。一人の人間の持つ様々な面を広く見せられたらという思いで演じました。残念ながら、(実在した)永瀬さんは亡くなっており、お目ににかかることはできなかったんですが、ご本人を演じるというよりも、あの時代の軍人であるということがどういうことであるのかを考えて臨みました」と語った。
オーストラリア人であるテプリツキー監督は、観客から戦時の酷い歴史を描くだけでなく「ゆるし」や「和解」へと物語が向かうことに葛藤はなかったか? と問われると「これは本当にあった話なので、それは難しくはなかった。むしろフィクションではないかと思えるが実際にあった出来事をスクリーンでどう本当の話としてきちんと描くかということが問題でした。素晴らしい俳優のおかげでインパクトのある作品に仕上がったと思います」と語る。そして「ここで描かれたひどい出来事は過去であり、この映画は復讐や暴力の映画ではなく、将来に向けた話なのです」と呼びかけた。
第26回東京国際映画祭は、10月25日まで開催。「レイルウェイ 運命の旅路」は2014年4月、角川シネマ有楽町ほか全国で公開。
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