フランソワ・オゾン、“目力”で抜てきした美少年エルンストと語る「危険なプロット」
2013年10月18日 13:35
[映画.com ニュース]本国フランスで、公開1カ月で120万人超の観客動員を記録したフランソワ・オゾン監督の新作が、邦題「危険なプロット」として10月19日公開する。フランスが誇る名優ファブリス・ルキーニと新星エルンスト・ウンハウワーが教師と生徒に扮し、スリリングな心理戦を繰り広げるサスペンスタッチのドラマで、オゾンの最高傑作との呼び声も高い。来日したオゾン監督とウンハウワーに話を聞いた。
スペインの戯曲を元に、舞台をフランスの高校に移して映画化。かつて作家を目指していた国語教師のジェルマンが、生徒クロードが友人ラファ一家について書いた作文から文才を見いだし、文学的な手ほどきをしていくうちにクロードとラファ一家の関係が思いもよらぬ方向に展開していく。
ルキーニとウンハウワーのキャスティングについてオゾン監督は「これまで多くの文芸作品を舞台で演じているルキーニは、フランスでは文学の教師といったイメージがあり、芝居の経験も豊富、一方エルンストは経験が浅く、本当に教師と生徒のような関係性がありました。二人の実人生が似通っていたことが彼らにとっても役に入りやすかったのでは」と語る。二人がクロードとジェルマンとして高校で個人指導を行うシーンは、物語の進行に沿って撮影する“順撮り”で進めた。「そうすることによって、クロードとジェルマンの関係性が少しずつ深まっていく過程を、生の形、いわばドキュメンタリー的に最後まで撮ることができたことが面白かったですね」と振り返る。
今作でオゾン監督は、イングマール・ベルイマンやウッディ・アレンが用いた演劇的手法を取り入れたり、登場人物が映画館に「マッチポイント」を見に行ったりとアレン監督へのオマージュが感じられる。本人に会ったことは? と問うと「ノン! 大好きな映画監督なので会いたいです。ジェルマンと妻のジャンヌは、アートについてインテリな意見を闘わせるカップルとして描いています。アレンとダイアン・キートンを思わせるように意識しました」と語る。そして「この作品をニューヨークに提案したときに、配給会社の人に1本コピーをアレン監督に送ってくれないかと頼んだんです。見てくれたかどうかわからないし、それから返事はないんですけどね(笑)。最近あまり映画は見ないと聞いていますから」と明かしてくれた。
物語の鍵となるウンハウワーは、細身の肉体に少し影のあるまなざしが印象的な正統派美少年だ。21歳のウンハウワーをオーディションで高校生役に起用した理由をこう明かす。「実年齢よりずっと若く見えたこと。そして、彼の目力です。この映画はクロードがのぞき見趣味的に物語に入っていくので、目力は非常に大事でした。そして彼の声。女性をうっとりさせるような声の持ち主なんです」
シュールレアリストの画家マックス・エルンストが名前の由来だというウンハウワーは「父は抽象フォトグラファーで、人物でも風景でも絵画のように表現するんです。とてもシュールレアリスムに影響されていました。僕自身も初めて出た長編映画が『マンク 破戒僧』(※アンドレ・ブルトンが『シュルレアリスム宣言』で取り上げたマシュー・G・ルイス『マンク』が原作)だったのでやはりシュールレアリスムには縁があるかもしれません」と語る。
そして、オゾン監督との初タッグを「どんな人かは、もちろん会ってみないとわからないと思っていましたが、作品と同様にちょっとピリッとした辛らつな部分を感じました。想像を裏切られることはありませんでした」と振り返る。「今まで僕の映画なんて見てなかっただろ?」とオゾン監督が問いかけると「8歳くらいのときに『8人の女たち』を見たよ!」と切り返していた。
インタビュー後の写真撮影タイムでポーズを依頼するとオゾン監督は「キスでもしようか?」と上機嫌にリップサービス。顔をしかめるウンハウワーに「(映画の)撮影中は嫌がらなかったじゃないか(笑)」と冗談を飛ばし、息の合った二人は快く写真に応じてくれた。
「危険なプロット」は10月19日全国公開。
フォトギャラリー
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
犯罪が起きない町で、殺人事件が起きた――
【衝撃のAIサスペンス】映画ファンに熱烈にオススメ…睡眠時間を削ってでも、観てほしい
提供:hulu
映画料金が500円になる“裏ワザ”
【知らないと損】「映画は富裕層の娯楽」と思う、あなただけに教えます…期間限定の最強キャンペーン中!
提供:KDDI
グラディエーターII 英雄を呼ぶ声
【史上最高と激賞】人生ベストを更新し得る異次元の一作 “究極・極限・極上”の映画体験
提供:東和ピクチャーズ
予想以上に面白い!スルー厳禁!
【“新傑作”爆誕!】観た人みんな楽しめる…映画ファンへの、ちょっと早いプレゼント的な超良作!
提供:ワーナー・ブラザース映画
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。