死刑囚の告発をもとにした話題作が封切り 白石和彌監督「現場では自分が一番凶悪になった」
2013年9月21日 15:32

[映画.com ニュース]山田孝之が主演する「凶悪」(白石和彌監督)が9月21日、全国78スクリーンで封切られ、東京・新宿ピカデリーで山田と白石監督をはじめ、共演するピエール瀧、リリー・フランキー、池脇千鶴が初日舞台挨拶を行った。
実際の凶悪殺人事件を追ったノンフィクション「凶悪 ある死刑囚の告発」(新潮45編集部編)を映画化。雑誌記者の藤井(山田)が、死刑囚(瀧)の「誰にも話していない余罪が3件ある」という告発を頼りに、警察も知らない殺人事件を明るみにし、“先生”と呼ばれる首謀者(リリー)を追いつめる。
事件を追う過程で、自身も闇にのみこまれるという難役に、山田は「台本を読んで、やりがいがある役だと感じ、ぜひ演じたいと思った」とあくまで前向きだったと述懐。原作者の宮本太一氏から、激賞の手紙が届くと「泣きそうです……、ウソですけど(笑)」と照れながらも、「純粋に映画として楽しんでいただいたようで、良かった」と感謝の意を表した。
ピエールは現在も収監されている実在の死刑囚を演じ、「間接的とはいえ、その死刑囚や遺族の方々とかかわるの、正直イヤですよ」と本音を吐露。「リリーさんから『一緒にやろうよ』と誘われて、演じるハメになりました」と苦笑いも浮かべた。当のリリーは「凶悪な役をひとりで演じるのはイヤだったから、瀧を道連れした」と役柄さながらのしたたかな一面を見せていた。
白石監督は「実際の事件を映画化するだけに、ハンパな気持ちではいけない。現場では自分が一番凶悪にならないと、成功しないと思い、皆さんには無理を言いました」と弁明。それでも「こういう映画が、今の日本では作りにくい状況なので、ぜひヒットしてくれて、日本映画の多様性が生まれ、(映画界に)元気を取り戻してもらいたい」とこん身の一作を誇らしげにアピールしていた。
また、この日の舞台挨拶で紅一点の池脇は、隣に立つリリーから「髪切ってフワっとして、お似合いですね」と髪型をほめられていた。
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