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「ポルトガル、ここに誕生す ギマランイス歴史地区」巨匠ビクトル・エリセが語る

2013年9月9日 09:00

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「割れたガラス」撮影中のビクトル・エリセ監督
「割れたガラス」撮影中のビクトル・エリセ監督

[映画.com ニュース] 多くの歴史的建造物が残るポルトガルの古都ギマランイスの名を冠し、ヨーロッパ映画界を代表する4人の名匠が競作したオムニバス作品「ポルトガル、ここに誕生す ギマランイス歴史地区」が、9月15日に公開される。閉鎖された紡績工場を題材とした「割れたガラス」を発表したスペインの巨匠ビクトル・エリセ監督が、作品を語った。

本作でエリセ監督は、地域の歴史よりもそこで働いてきた労働者たちにフォーカスし、カメラの前で過去を語らせたり、ときには演技をさせ、工場で働いてきた人々の人生をあぶり出す。タイトル「割れたガラス」はギマランイスから30キロ程の廃墟工場の名前からとったもので、映画は全ての窓ガラスが壊れた大きな部屋から始まる。

「労働者階級が、ギマランイスの町の歴史を発展させることが出来ないというケースを取り扱っています。今日、金融の資本主義の現段階において、皆がポルトガルやスペインはサービス業の国だと考えています。サービス業とは、唯一の一大産業となる観光業における事業のこと。そこから、教養を持った労働者階級からの移動や流出が始まります。この現象は、現在はdesaparecida(行方不明)と文字通り定義されています。映画内で俳優は、1895年のメーデーに発表する為にエルネスト・ダ・シルバによって書かれた劇的な戯曲を演じます。それは労働者を象徴したもので、そこには、現代では完全に消え去ってしまった真のプロレタリア階級の文化があります」

本作の舞台となった実際の工場は映画内では使用されていないが、とてつもない広さを有していた。「どれ程大きかったかと言うと、建物の中に鉄道駅があった程です。1845年まで、工場内にまで電車が通っていたのです。電車は、労働者をそこへ運び、それと一緒に電力も運び込まれていました。電車、電力、工場は、映画の誕生に強く結びついている要素です。何故ならその間に世紀の発明である光の誕生がありますから。更に、リュミエール兄弟の『工場の出口』は、ポルトガルの映画界の最初の作品と同じストーリーとなっています。兄弟の友人であったアウレリオ・ダ・バス・ドス・レイスが彼らの8ミリカメラを買い取り、彼らの映画の完全なレプリカを撮ったのです。タイトルは、『A Saida do Pessoal Operario da Fabrica Confianca』(1896)です」と説明する。

カメラの前に労働者たちが交互に入れ替わる反復、ドキュメンタリーとフィクションの境界があいまいな構成など、リュミエール兄弟へ「工場の出口」への目配せを感じられる仕上がりとなっている。

「私は、テレビのルポタージュはやりたくなかったのですが、映画を慣例として考えたのです。だからこそリュミエール兄弟の存在は大事なのです。俳優に関して最初に言うべきことは、8ミリカメラの前で演技をするのは、皆にとって初めての体験だったと言うこと。ほとんど全員が普通の労働者ですが、何人かは俳優でした。でも、プロの俳優ではありません。劇場を愛していた為に、昔工場を辞めて、演技の道へと進んだ者達です。彼らが映画内の演技の中で語る証言は本物です。最も衝撃的だったのは、恐らく77歳の女性のものでしょう。歴史における底知れない深みを開放する意味を含ませていました。この彼女の場合、当時わずか18歳だった従姉妹によってはるか昔に書かれた詩の言葉を引用しながら突然話し始めるのです」

ポルトガル、ここに誕生す ギマランイス歴史地区」は9月14日からシアター・イメージフォーラムほか全国で公開。

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