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iPhoneを使わない鬼才M・ゴンドリー「うたかたの日々」へのこだわりは?

2013年9月6日 15:00

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手作りのネズミのオブジェを動かすゴンドリー監督
手作りのネズミのオブジェを動かすゴンドリー監督

[映画.com ニュース]1950年代に小説家やミュージシャンとして活躍したフランスのアーティスト、ボリス・ビアンの代表作を、ミシェル・ゴンドリー監督が映画化した「ムード・インディゴ うたかたの日々」。原作で描かれるビアンの独創的なイメージやアイテムが、アナログなタッチで見事に映像化されている。ゴンドリー監督が美術演出に対するこだわりを語った。

「僕の作品づくりの根本において、ボリス・ビアンの影響は大きくでているね。僕には、ものを人間に見立てて、空想をふくまらせていく傾向があるんだけど、それは、彼の作品と通ずるところがあるよ。今回の主人公は、胸に花が咲く病にかかる女性だけど、このアイデアは最高だよね」と原作への思いを語る。

カクテルを作るピアノ、恋人たちを運ぶ雲のオブジェ、ハネムーンへと向かうスケルトンのリムジンなど、ビアンの想像から生まれ、ゴンドリーの手によって可視化されたアイテムが観客の目を楽しませる。ハリウッド大作であれば、最先端のグラフッイック技術を駆使するのが王道だが、「エターナル・サンシャイン」「恋愛睡眠のすすめ」など温かみのある映像で知られる鬼才は、ローテクでありながら未来的なアイテムをつくり上げることに成功した。

「CGを使えば制限なしになんでもできるけど、僕はあえてアナログな動きで、ハードルをあえてあげたんだ。実際にオブジェの創作は刺激的だったよ。ちなみに……僕はタッチ画面が好きじゃないから、iPhoneを使っていないんだよ(笑)! 僕の作品を見れば、納得がいくだろう? クリックで変わるきっかけがつかめる感触そのものが好きなんだ。今回の撮影には最新鋭のデジタルカメラを使ったけれど、この映画は、モノひとつひとつに息吹を吹き込むことがなによりも大事だったんだよ」

原作の翻訳を担当した仏文学者の野崎歓氏は、「何よりも驚きなのは、ゴンドリーのとことん忠実な“翻訳”たらんとする意志の強さである。今回、実に勇気のいる挑戦だったに違いないが、原作に寄せる深い愛情には感服するばかりだ」と原作に最大限の敬意を払って仕上がった映画を絶賛している。

裕福で働かずにパリで自由に生きていたコランが、無垢な魂を持つクロエと恋に落ち結婚するが、ある日クロエが肺の中に睡蓮が芽吹くという奇妙な病におかされてしまう。人生を変えてクロエを助けようとするコランの姿とふたりの運命を描く。

ムード・インディゴ うたかたの日々」は10月5日から新宿バルト9、シネマライズほか全国で公開。


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