菅田将暉、人生の転機となる代表作に万感の思い「全身全霊を込めて演じた」
2013年8月26日 21:00

[映画.com ニュース] 作家・田中慎弥氏の第146回芥川賞受賞作を青山真治監督が映画化した「共喰い」のプレミア上映会が8月26日、都内の劇場で行われ、主演の菅田将暉をはじめ、篠原友希子、光石研、青山監督、田中氏が舞台挨拶に立った。若手注目株の菅田は、「この映画の初日が9月7日で、デビュー作の『仮面ライダー』の初オンエアも9月7日だった。色々と運命的なものを感じる、人生の転機だなと思える作品。10代の夏、全身全霊を込めて演じた」と胸を張った。
昭和63年の山口県下関市を舞台に、高校生の遠馬(菅田)、暴力的な性癖をもつ父親(光石)、その愛人(篠原)らが繰り広げるひと夏の出来事を通じ、人間が抱える欲望や暴力性を原作とは異なるオリジナルのエンディングとともに描き出す。
先日開催された第66回ロカルノ国際映画祭コンペティション部門で、「YOUTH JURYAWARD最優秀作品賞」と「ボッカリーノ賞最優秀監督賞」の2冠に輝いた本作。菅田は映画祭を振り返り、「監督と2人で朝食を食べて、その後1人で街を散歩し、素直にその土地が好きになった。舞台挨拶でもその土地の言葉で挨拶をし、温かく歓迎してもらい、ここにまた来たいなって思った」と感慨深げ。青山監督も、「学生と批評家の双方から評価してもらえたので良かった。ふだんなら映画祭の観客はエンドクレジットで出て行ってしまうけど、今回は立ち上がりかけてまた席に座り、もう一度拍手をもらった」と手応えを感じていた。
体当たりの熱演を見せた篠原は、「アルコールが好きな青山監督は、いつも飲んでテーブルに突っ伏しちゃうお決まりのパターン。監督を起こす菅田くんのキレイな目が忘れられない」と裏話を披露。光石も、「楽しかった思い出ばかり。1日だけ田中先生が現場に来てくれ、『もらっといてやる』発言で一世を風びした方なので怖いんじゃないかと思ってたけど、一緒に写メを撮ってもらったら満面の笑み。『え、この人笑うの?』ってみんな口をそろえて驚いていた」と明かし、笑いを誘っていた。
田中氏は、「自分の本が映画化されることは、自分の本が出版されるくらいうれしいこと。現場に見学に行った日はウナギを釣る場面を撮っていた日で、ワンカットの瞬間を作るのにあれだけのスタッフが力を注ぐのだと知り、ふだんひとりで仕事をしている身としてはうらやましい感じがした」。また、「小説と映画はそれぞれが独立した作品。原作の雰囲気を壊しているからダメというものでなく、優劣ではない違いを感じてもらえると思う。先日東京ドームの『AKB48』のコンサートに行ったけれど、あれは日本の明るさのズバ抜けた頂点。ただでさえ憂うつな月曜の夜に、皆さんはダークな日本の頂点をご堪能ください」とユーモラスな挨拶で締めくくった。
「共喰い」は、9月7日から全国で公開。
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