大森南朋、兄・大森立嗣監督の手腕を絶賛「すごい映画、やるなと思った」
2013年6月10日 21:15

[映画.com ニュース]俳優の大森南朋が6月10日、都内で行われた出演作「さよなら渓谷」の完成披露試写会に出席した。メガホンをとる兄・大森立嗣監督作に3度目の出演で、本格的なタッグは今回が初めて。「兄弟なので複雑な気持ちだが、すごい映画になったのは事実。正直『やるな』と思った」と手放しの絶賛。それでも「俳優と監督という距離感を保っていたつもりだが、途中から兄貴にダメだしされている感覚でイラっとしました(笑)」と率直な気持ちも明かした。
完成披露試写会には大森兄弟をはじめ、本作で7年ぶりに単独主演を果たした女優の真木よう子、大西信満、鈴木杏、井浦新、鶴田真由が出席した。原作は芥川賞作家・吉田修一氏の同名小説。幼児殺害事件が起きた緑豊かな渓谷を舞台に、犯人として逮捕された実母と隣家に暮らす夫妻(大西、真木)の知られざる愛憎が、出版社記者(大森)の取材から明らかになる。
大森監督は「どうしても社会の外側にはじき出されてしまった人間にひかれてしまう。外側にいるからこそ、純粋な愛が生まれるのだと思う」。実力派のキャストが居並ぶ本作に「とにかく俳優を撮るのが好きなんです。息づかいや立ち姿……、とにかく役者を見てください」と自信のほどをうかがわせた。
暗い過去を抱える難役に挑んだ真木は「覚悟したが、それ以上にやりがいがあった。いまだに映画を撮り終えたという感覚はなく、自分自身が“生きた”ドキュメンタリーのような作品」と誇らしげ。夫役で共演した大西を「とにかくまじめで、目にウソがない方。こちらも100%出さないと、負けてしまう」と評すると、当の大西も「そのまま今の言葉をお返ししたい。特殊な人物ではあるが、真木さんが相手だったからこそ、等身大の人物として演じることができた」と“共闘”に胸を張っていた。
ともに事件を追う相棒記者を演じる鈴木は「大森さんと監督が一緒にいる珍しい光景を見ることができた。信頼で結ばれた兄弟感があった」と述懐。大森と夫婦役に挑んだ鶴田も、「大森さんが『監督から南朋、南朋って呼ばれるのが困る』とこぼしていた」と現場での様子を告白。井浦は以前から大森組への参加を熱望していたといい「撮影はわずか1日だったが、得るものがたくさんあり、自分自身にとって思い入れの強い作品になった」と喜びをかみしめた。
「さよなら渓谷」は6月22日から全国で公開。
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