仏新鋭監督、問題作「カレ・ブラン」で描く歪んだ世界と愛の物語
2013年4月5日 13:40

[映画.com ニュース]「カレ・ブラン」とは、フランス語で白い四角、数字のゼロを意味する。フランスの新鋭ジャン=バティスト・レオネッティ監督は、長編デビュー作を「カレ・ブラン」と名付け、人間が“ゼロ”すなわち無へと向かう近未来のディストピアを生みだした。思考と感情が完全に統制された社会のなかで、レオネッティ監督が描きたかったものとは何だったのか。
「この時代の映画には、物語性と視覚的ビジュアルが共存していました。でも、私にとって最も重要だったのは、この時代の作品が持つ“パラノイア(偏執性)”です。『マラソンマン』『コールガール』『コンドル』『大統領の陰謀』『時計じかけのオレンジ』『ソイレント・グリーン』『ローラー・ボール(1975)』といった“パラノイア”について語った作品が、私の基礎を築いてくれました。だから、初監督作品がこの方向へ進むのは自然だったのです」
類まれなディストピアを描くにあたり、レオネッティ監督は世界や国家といった巨大な単位ではなく、ひとつの組織という小さなシステムに焦点を絞った。「この映画には警察や軍隊は登場しない。権威がどこに存在するのかはっきりとはわからない。『カレ・ブラン』の中では、最大の敵は自分自身、あなた自身なのです」と内面に巣くう恐怖をあぶり出す。「私たちは常に監視されている時代に生き、恐れている。でも何を恐れているのでしょうか? これはこの作品の最も重要な問いかけです。映画を見ている人は、主人公が完全な監視の下に暮しているということがわかってくると、恐怖心が芽生える。自分を恐れ、過去・未来を恐れる。このような人間の心理こそが、本物のファシズム、警察や軍隊のいない近代的ファシズムだと思うのです」
しかし、本作は暗黒世界とそのシステムを糾弾するだけの映画ではない。幼少期から思想教育を施され冷え切っていた夫婦が、生か死の瀬戸際で愛と自由を選択するラブストーリーでもある。この世界では、不条理に気付いてしまった人間は死を選ぶが、夫婦が抑圧と死を超えた愛にたどり着き、希望となる。「このような悲惨な世界で、愛の物語を伝える以外に希望を示す手段はありません。主人公がこの世界を生き抜く方法は、妻を愛し続けることができるという能力なのです。夫婦は一緒にいようと決断する。これは小さな希望ではなく、とても大きな希望です。この映画の最も重要な部分で、私たちは彼らが触れ合う姿を目撃しなければいけないのです」
「カレ・ブラン」は、4月6日から東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムで公開。
Amazonで関連商品を見る
関連ニュース






映画.com注目特集をチェック

アマチュア
【殺しはアマチュア、しかし頭脳は最高】スパイ史上最も地味、だが最も予測不能な男が面白すぎた!
提供:ディズニー

HERE 時を越えて
【何だこのすごい映画は!?】まるで動かない「バック・トゥ・ザ・フューチャー」 ラストの多幸感よ…
提供:キノフィルムズ

異常者×異常者×異常者…
【イカれた映画を紹介するぜ!】命令無視の異常者チームが無許可で大暴れ! ぶっ刺さる一作!
提供:KADOKAWA

片思い世界
【広瀬すず×杉咲花×清原果耶】涙腺崩壊、でも、あ~…何も言えない!! とにかく早く観て!!
提供:リトルモア

社畜が観たらすごかった映画
【前代未聞のオール社畜レビュー】「パラサイト」監督による至高エンタメ…果てしなく良かった!
提供:ワーナー・ブラザース映画

侍タイムスリッパー
【ついに見放題“最速”配信中!!!】観たかった人も、何度も観た人も今すぐ観よう!【超ネタバレ厳禁】
提供:JCOM株式会社

過激な問題作
【この村の住人は、人間を喰ってる――】狂いに狂った衝撃作。未見の人がうらやましい。
提供:ディズニー

映画館で観ないとぜっっったい後悔する
【ラスト5分の破壊力】そして“観たことないシーン”のゲリラ豪雨に、感動を超えてもはや放心状態――
提供:東和ピクチャーズ

映画が大好きな人へ――
“映画館でオトクに観る裏ワザ”、ご紹介させてください!【知らないと損な神情報】
提供:KDDI