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カンヌ主演男優賞受賞のマッツ・ミケルセンが語る「偽りなき者」

2013年3月15日 12:59

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デンマークきっての国際的俳優マッツ・ミケルセン
デンマークきっての国際的俳優マッツ・ミケルセン
(C)2012 Zentropa Entertainments19 ApS and Zentropa International Sweden.

[映画.com ニュース]「セレブレーション」以来の、トマス・ビンターベアの最高傑作とも言える新作「偽りなき者」が3月16日公開になる。幼稚園教師の主人公ルーカスが、彼に心を寄せる女児の悪意のない嘘によって変質者の嫌疑をかけられ、コミュニティからつまはじきにされる。疑いがやがて盲信に変わり、怒りと暴力がエスカレートする怖さがぴりぴりとした緊張感をもって描かれる。そんな本作を忘れ難いものにする最大の要素が、主演のマッツ・ミケルセンの演技だ。抑制のきいた迫真の演技で、昨年のカンヌ映画祭ではみごと主演男優賞を獲得した。本作の他に、今年のアカデミー賞で外国語映画賞にノミネートされた「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮」があるほか、次回作ではハリウッド映画でユアン・マクレガーと共演する予定もある、デンマークきっての国際的俳優に話を聞いた。(取材・文/佐藤久理子)

——観客がやるせなさと行き場のない怒りを覚えるような作品ですが、こうした激しい感情を抱かせる作品に興味を引かれるのですか。

「うん、いろいろな意味で挑発的な作品が好きだ。自分もこの脚本を初めて読んだとき、とても怒りを覚えたよ。でも演じる立場としては、そのフラストレーションがモチベーションになった。この脚本の素晴らしいところは、誰も本当の悪人はいないということ。みんな子供を愛しているがゆえに彼女を信じるし、すべては誤解ゆえに起こる。監督とはルーカスのリアリスティックな反応について何度も話し合った。リアルであることがもっとも重要だった」

——この映画は、人々が信じる真実というものがいかに不確かであるかを物語っていますね。この作品をやったことで、こうしたテーマに対するあなた自身の見方が変わることはありましたか。

「もともと俳優というものは、真実ととても“自由な関係”を保っている。俳優の仕事とは嘘をつくことだからね(笑)。この仕事をするなかで僕が理解したのは、真実はひとつではなく、たくさんあるということ。つまり僕が経験したことは僕の真実なのであって、その経験は人によって異なる。でも僕自身はいつも、人が真実だと言うことに対して鵜呑みにしないようにしている。ただし子供の話を聞いてやることは、それが本当かどうかは別にしてとても大切だと思う」

——デンマークはヴィンターベアやラース・フォン・トリアーをはじめ世界的に活躍する監督がたくさんいますが、この状況をどうご覧になっていますか。

「面白いのは、トマスのことはごく初期から知っていたんだけど、僕はニコラス(ウィンディング・レフン)とつるんでいたんだ。当時は他にも6か7のグループがあったんだけど、それぞれが違うことをやっていてお互い話さなかった(笑)。それからしばらくして一緒に仕事をする機会が増えた。デンマークの監督が世界で活躍するのはもちろん喜ばしいし、僕自身はやっぱり自国語で演技できるのが一番うれしい。だからいつでもホームベースとして考えているよ」

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