若気の至り!? ついに公開の「ベルトルッチの分身」を中原昌也×樋口泰人が語る
2013年3月4日 16:00

[映画.com ニュース] 巨匠ベルナルド・ベルトルッチ監督の長編第3作「ベルトルッチの分身」(1968)の日本初の劇場公開を記念し、作家でミュージシャンの中原昌也氏と映画評論家の樋口泰人氏によるトークイベントが3月3日に東京・代官山蔦屋書店で行われた。
ベルトルッチ監督のデビュー50周年を記念した「ベルトルッチ初期傑作選」という企画で、3月9日から「ベルトルッチの分身」と処女作「殺し」(62)、64年発表の「革命前夜」の3作品を同時上映する。
「ベルトルッチの分身」は、ドストエフスキーの小説「分身」を基に、主人公の青年ジャコブが、融通のきかない真面目な青年と狂暴で破壊的な殺人者という極端な2つの人格に引き裂かれていく姿を描いた。「昼顔」、「豚小屋」などで知られるピエール・クレマンティ主演、ティナ・オーモン、ステファニア・サンドレッリが共演する
本作撮影当時のベルトルッチ監督は20代後半で、若いエネルギーがほとばしるような挑戦的な映像に仕上がっている。樋口氏は「あからさまに若気の至りだが、それでいける映画。今の日本でこういう作品を作ってくれる若い人がいない」と評し、「モリコーネの音楽の使い方が演劇的でおもしろい」と語る。
中原氏は劇中の豪華なセットに触れ「イタリア映画はインディーズがないので、誰が撮ろうと撮影所の映画になる。ヌーベルバーグの影響下にありながら、信じられない位ぜいたくな作品」と指摘する。それを受けて樋口氏は「金もかかっている上で、こういう作品が撮れるとは一体どんな状況だったのだろう。ヌーベルバーグの影響を受けているのに音はすべてアフレコ。そこがびっくりし、面白かった」といい、イタリア映画の独自の変遷を解説。また、同作の主人公は、ウェス・アンダーソン作品でのオーウェン・ウィルソンに通ずる部分があるとふたりの意見が一致していた。
「ベルトルッチの分身」を含む「ベルトルッチ初期傑作選」は3月9日から、シアターイメージフォーラムほか全国順次公開。また、ベルトルッチ監督10年ぶりの新作となる「孤独な天使たち」の公開も4月に決定している。
(C)1968 Red films Produced by Giovanni Bertolucci
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