ゆうばりグランプリに障害者の性を描いた「暗闇から手をのばせ」
2013年2月25日 03:50

[映画.com ニュース] 第23回ゆうばり国際ファンタスティック映画祭のクロージングセレモニーが2月24日に開催。オフシアター・コンペティション部門では、戸田幸宏監督が障害者の性の実態をテーマに描いた「暗闇から手をのばせ」がグランプリを含む2冠に輝いた。
映画祭は全部で5日間の日程だが、各部門の受賞発表およびクロージングセレモニーは4日目に開催。グラビアアイドルの小泉麻耶が主演し、障害者専門のデルヘリ嬢を演じた同作は、ハンディキャップを抱える人々を遠ざけようとする社会のいびつさを皮肉やユーモアを込めてえぐり出し、グランプリとともに、興行主とメディアの審査によるシネガー・アワードも受賞した。
戸田監督はNHKエンタープライズの社員で、ドキュメンタリー番組のディレクターを務める42歳。数年前にこの題材に出合い、ドキュメンタリーとして企画したが会社から許可が得られなかったため、自己資金での映画化を決めたという。グランプリ受賞により次回作の製作援助のためにスカパー!から200万円が授与される。
フィクション作品を作るのは今回が初めての経験だったが、「重いテーマをドキュメンタリーで重く伝えるよりも、エンタテインメントとして笑ったり泣いたりしながら『次を見たい』と思わせるフィクションにした方が良いと思った」と製作経緯を説明した。審査委員長を務めた塚本晋也監督は、本作について「お金を出してくれるところはないけど、どうしても作りたいという思いにあふれていた」と評価。個人的な意見として応募作全体に対し「破たん直前まで胸の中にあるグニャグニャを発露するような作品に期待したい」と注文を付けたが、本作に関しては「破たんや爆発はないけど、この難しいテーマに挑むということが一種の爆発。最後まで見せ切り、観客を引っ張る強さがあった」と称賛した。
審査員を務めた俳優の山本浩司も、障害者の性というテーマを絶賛。「なかなか表に出てこないテーマを描いたのがよかった」と語る。吉田大八監督も「ドキュメンタリー経験があり、強いテーマでも硬軟を取り入れて飽きさせず、バランスが巧みだった」と語ったが、一方で「次のテーマに苦労すると思います。苦しむ姿を見たいし(笑)、楽しみです」と期待を込めてエールを送った。戸田監督は、審査員の言葉を受け止めつつ「タブーに挑戦するテーマで、制約を受けず強い意志を持って継続して作っていきたい」と決意を新たにしていた。
この日の夕方の時点で、映画祭来場者は1万1735人。最終日の25日には受賞作の上映などもあり、12000人突破が見込まれる。なお、「暗闇から手をのばせ」は3月23日からユーロスペースほか全国で公開されることが決定しており、BSスカパー!でも3月8日に放送される予定。
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