辻仁成、監督兼主演の難しさを語る「誰がオッケー出すのか」
2013年2月10日 20:00
[映画.com ニュース] 作家、ミュージシャンなど多岐にわたり活動する辻仁成の監督・主演作「その後のふたり」が2月9日、東京・渋谷のアップリンクで公開初日を迎え、辻監督ほか、主演の坂井真紀、倉本美津留が舞台挨拶に立った。
公私にわたるパートナーとして数々のドキュメンタリーを共作してきた映画監督の純哉(辻)と七海(坂井)は、創作上の価値観から別れを選択する。純哉は創作の場をパリへと移し、七海は東京に残るが、2人は“別れたカップルのその後”を描くドキュメンタリーを着手するようになる。
これまで幾度となく大作映画の原作を手がけてきた辻監督だが、「自分たちが好きなモノを撮って好きな人たちに届ける。日本映画がハリウッド的になる時代に、あえて後退しているような企画。予算的には100分の1だけど、その分、人間が100倍くらいの時間をかけて撮った」と自負した。キャスティングも坂井以外はほぼ素人を起用しており、「坂井さんは役者としてプロ中のプロ。毎回顔が違う。その相手役でフランスにいる日本人を探すのはすごく大変だったので、まあ僕がやればいっかって(笑)」と経緯を説明。しかし、「今回の撮影で一番大変だったのは、僕が演技して監督しているので、誰がオッケー出すのかということ。助監督や周りのスタッフに『どうだった?』って感じで聞いてみたりしていた」と主演を兼ねることの難しさを語った。
辻監督の熱いラブコールを受けた坂井は、「アップリンクのラインナップのファンなので、そこに自分の映画がかかるのはとてもうれしい。実はここを作った浅井隆さんは私のデビュー作の監督さん」と明かし、会場を驚かせた。辻監督とのタッグは本作で3本目となるが、「辻さんはいつも情熱的で少年のようなキラキラした目でやって来る。『私でよければ参加させてください』とお返事した」と信頼を寄せていた。
本業は人気放送作家である倉本は、初対面だった辻監督に口説かれ出演オファーを快諾。「『ゼロ円で映画作りたい』と言われた。僕は革新的なことをやっている人が大好きだから、役柄も自分自身に近いしできるかなと。辻さんにしか撮れないオリジナリティあふれる作品になった」と手応えを感じていた。
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