成島出監督作「草原の椅子」製作秘話 ロケ地フンザへの過酷な道程が明らかに
2013年1月3日 07:00

[映画.com ニュース] 宮本輝氏の人気小説を成島出監督が映画化する「草原の椅子」が今夏、日本映画史上初となる長期パキスタンロケを敢行した。7000メートル級のヒマラヤの山々、果てしなく広がるカトパナ砂漠など、雄大な景色が余すところなく収められており、映像の壮大さも見どころのひとつ。しかし、撮影に至るまでの道程は極めて過酷なものだった。
パキスタン・イスラム共和国のフンザで、8月16日にクランクアップを迎えた今作。撮影は同7日からの9日間だったが、現地に到着するまでが苦難の連続だったという。3日に日本を出国したロケ隊は、最初のロケ地・スカルドゥへ向かうため、9時間のフライトで経由地である首都イスラマバードへ。しかし、スカルドゥへ向かう途中にそびえる、世界第9位の高さを誇る山ナンガパルパットの影響で天候が安定せず、時期によっては就航率が1~2割ともいわれている。
ロケ隊の願いもむなしく、フライト30分前に欠航が決定。そのため2日がかりのバス移動を余儀なくされる陸路を選び、カラコルムハイウェイというインダス川沿いの舗装されていない山道をひた走った。成島監督は、シナリオハンティングとロケーションハンティングを含め3度にわたるバス移動を「3度目には慣れちゃいました」と述懐する。
それでも、フンザへ入るとその過酷な状況は一変する。眼前に迫る山々に圧倒されながらも、暮らす人々の表情には笑顔があふれ、非常にゆったりとした時間の中で人間らしい生活が営まれていた。冬こそ周辺一帯が雪に覆われるが、撮影時は高原と同等の穏やかな気候に見舞われていたそうだ。成島監督にとっても初めて目にする光景だったようで、「景色が広すぎて、富士山の倍以上の山がすぐそこにあるから画角に入りきらなくて、カメラマンの長沼六男さんと『すごいね。どう撮ればいいの?』と圧倒されてしまいました」と振り返った。
同作は、カメラメーカーの営業局次長として働く遠間憲太郎(佐藤浩市)と、取引先「カメラのトガシ」の社長・富樫重蔵(西村雅彦)の50歳を過ぎてからの友情を軸に描かれる。ふたりと遠間の長女・弥生を介して出会った、母親に虐待されて育ったため心に傷を負った4歳の幼い少年・圭輔、遠間が密かに思いを寄せる骨董店オーナー・篠原貴志子(吉瀬美智子)の4人は、偶然出合った写真に桃源郷を見出し、自分たちの未来のあるべき姿を探すため「世界最後の桃源郷」と呼ばれるフンザへと旅立たす決意をする。
「草原の椅子」は、2013年2月23日から全国で公開。
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