杉野希妃&内田伸輝監督、震災後を描いた新作への思いを語る

2012年12月22日 22:30


放射能の恐怖に翻弄される人々の姿を描く意欲作
放射能の恐怖に翻弄される人々の姿を描く意欲作

[映画.com ニュース] 女優でプロデューサーの杉野希妃が12月22日、東京・渋谷のユーロスペースで行われた映画「おだやかな日常」の初日舞台挨拶に、篠原友希子山本剛史渡辺杏実ちゃん、内田伸輝監督とともに登壇した。

ふゆの獣」で知られる内田監督がメガホンをとり、東日本大震災後の東京を舞台に、放射能の見えない恐怖に翻弄される人々の姿を描いた同作はこの日、全国4スクリーンでの封切り。主演とプロデュースを兼ねた杉野は、「この作品は今年の1、2月に撮りました。1年経った今、日本がこのような状況にあるなかで公開されることに、とても意義を感じています」と感慨深げ。そして「テーマがテーマだけに、資金集めなども難しい部分もあった」と振り返り、「ふだんは自分の作品を客観的に見ることができるけれど、まだ続いている問題なので平常心で見られない部分もある」と吐露した。

内田監督は、震災後の原発事故をきっかけに、政府やメディアの発する情報とインターネット上の情報の食い違いを感じ「その状況がとてつもなく怖く、何を信じていいのか不安だった。自分の不安な気持ちを映画にしないと、次の作品に進めないと思った」と今作の製作に踏み切った思いを明かした。

杉野とともに、物語のキーパーソンとなる主婦を演じた篠原は「放射能は気になるけれど、気にしだすと止まらないし、見て見ぬ振りをしてきた。でも、調べていくうちに『穏やかな日常でいいのかな』『穏やかってなんだろう』と感じて、ユカコと篠原友希子がリンクしていった。心の内面の状態は今も続いている」と真しな眼差(まなざ)しをのぞかせた。

撮影中、内田監督は独特の演出を行ったそうで「脚本は書いたけれど、5シーンくらいワンカットの即興で撮影した。むき出しの感情を出していきたかった」と説明。役者陣は「常に相反するものがあった。制限されているけれど自由。つらいけど出すことで癒される。こんな感覚は今までなかった」(杉野)、「監督は何でもやっていいと言うわりに、わがままで面白かった」(篠原)、「最初に台本を覚えていなくていいと言われたので、直球で行ったら初日は大変でした(笑)」(山本)と会場の笑いを誘った。

Amazonで今すぐ購入
歓待[DVD]

歓待[DVD]

最安価格: ¥3,344

東京下町を舞台に、ふらりと突然現れた流れ者の男に翻弄される一家を描くドラマ。出演:杉野希妃
中学生日記[DVD]

中学生日記[DVD]

「リンダ リンダ リンダ」の山下敦弘監督が元・中学生だったすべての男女に贈る、甘酸っぱくてちょっと臭い(?)青春賛歌。出演:篠原友希子

DVD・ブルーレイ

Powered by価格.com

関連ニュース

映画ニュースアクセスランキング

本日

  1. 「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」出演俳優たちが印税請求

    1

    「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」出演俳優たちが印税請求

    2024年4月24日 11:00
  2. 渋谷凪咲、ホラーで映画初主演! 「ミンナのウタ」のDNAを引き継ぐ清水崇監督作「あのコはだぁれ?」7月19日公開

    2

    渋谷凪咲、ホラーで映画初主演! 「ミンナのウタ」のDNAを引き継ぐ清水崇監督作「あのコはだぁれ?」7月19日公開

    2024年4月24日 04:00
  3. 「傲慢と善良」藤ヶ谷太輔&奈緒が主演! 辻村深月のベストセラーを映画化 監督は萩原健太郎

    3

    「傲慢と善良」藤ヶ谷太輔&奈緒が主演! 辻村深月のベストセラーを映画化 監督は萩原健太郎

    2024年4月24日 07:00
  4. 大友克洋「MEMORIES」初DCP化、4月26日からホワイトシネクイントでリバイバル上映開始

    4

    大友克洋「MEMORIES」初DCP化、4月26日からホワイトシネクイントでリバイバル上映開始

    2024年4月24日 09:00
  5. 田中圭、山下智久と9年ぶりの共演!「ブルーモーメント」に主人公の幼なじみ役でサプライズ登場

    5

    田中圭、山下智久と9年ぶりの共演!「ブルーモーメント」に主人公の幼なじみ役でサプライズ登場

    2024年4月24日 22:02

今週