町山広美、ホン・サンス作品の男女像&恋愛像を鋭く斬る
2012年11月12日 14:00

[映画.com ニュース] 世界的評価の高い韓国の鬼才、ホン・サンス監督の特集上映「ホン・サンス/恋愛についての4つの考察」が11月11日、東京・シネマート新宿で行われ、放送作家でコラムニストの町山広美氏を招いた記念イベントが開かれた。「よく知りもしないくせに」の主役ギョンナム(キム・テウ)の役柄について触れた町山氏は、「頼りない感じで、先輩にヘコヘコしている。男の人に多いのかもしれないけど、女の人に認めてもらうことで自信をつけようっていうのがありありと出ている」と愛情を込めた鋭い分析を披露し、ホン・サンス作品ファンをうならせた。
“韓国のゴダール”、“ロメールの弟子”などと評されることも多いホン・サンス監督。どこにでもいそうな男女の何気ないやり取りや日常を描き、恋愛の奥底に見える人間の真理を浮き彫りにする。今回上映される4作では、似て異なる4つの恋愛バリエーションを見ることができ、独自の視点で切り取られた男女の機微を堪能することができる。
女性の描かれ方について、町山氏は「以前は女の人をもうちょっと女神っぽく描いていたんですけど、今はそうでもない」と指摘。「今は『もうわかんねーや』っていう感じ(笑)。でもそれが結果的に女の人を美しく見せている。遠くに置いておいて女の人をえぐろうっていう気持ちもなく、まっすぐに見たら、女の人の良さが出てきたというのがいい」と語った。
そして物語の構造へ話が及ぶと、「(それぞれの作品は)割と似ていたりしながら、ちょっとずつ違っていて、そういうところに面白みがすごくあります。材料を増やさないで変えているから、4本見るとなお面白い、たくさん見た方が面白くなるんだろうなと思いました」と述べた。
「ホン・サンス/恋愛についての4つの考察」はシネマート新宿ほか全国で順次公開。第63回カンヌ映画祭ある視点賞グランプリ「ハハハ」をはじめ、「よく知りもしないくせに」「教授とわたし、そして映画」「次の朝は他人」の4本を上映。
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