D・マッケンジー監督ら、英国フェスで撮影した新作の魅力を語る
2012年11月2日 22:00
[映画.com ニュース] 「パーフェクト・センス」のデビッド・マッケンジー監督の最新作「One Night One Love ワンナイト、ワンラブ」が、11月3日に公開される。実際に開催された野外ロック・フェスを舞台に、若手バンドマンが繰り広げる恋愛模様をドキュメンタリータッチで描く。マッケンジー監督をはじめ、主演したルーク・トレッダウェイとナタリア・テナが、今作について語った。
イギリスで“グラストンベリー・フェスティバル”に次ぐ規模を誇る“T・イン・ザ・パーク”。人気エレクトロポップデュオのアダム(トレッダウェイ)は、舞台裏で若手ガールズパンクバンドのモレロ(テナ)と口論になる。仲直りさせようとしたスタッフによって手錠でつながれてしまったふたりは、行動をともにしなければならなくなる。
マッケンジー監督は、2010年に行われた“T・イン・ザ・パーク”の会場で、わずか5日間で撮影を敢行。撮影中は障害も多かったそうだが、「大きなインパクトとなってエネルギッシュな撮影が可能になったし、現実に沿った映像を捉えることにつながった。このフィルムは現代のフィルムメイキングのあり方を示していると思うし、とても新鮮な経験になった」と述懐。そして、完成した映像に「余計なことは考えず、誰もがすぐにその世界に入って行ける。物語そのものというより、フィルム全体の雰囲気にそのまま入り込む感覚になる」と自信をのぞかせる。
フェスのステージは常に組み替えられるため、マッケンジー監督は細かい段取りは行わず、ハンドカメラを多用することで、面白い場面を見つけては映像に収めるというフットワークの軽さをいかした撮影を行った。厳しいスケジュールであったが「これまで経験したことのないような一体感を感じた。予想していたよりもずっとパンチの効いた進行が可能になったんだ。その瞬間ごとのアイデアがそのまま形になっていくようなね」と振り返る。
アダムを演じたトレッダウェイは、「ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド」でバンドのボーカル役に挑んだ。テナは、ロックバンド「モロトフ・ジュークボックス」としても活動しており、劇中で歌声を披露している。マッケンジー監督と初タッグを組んだふたりは、「デビッドは最高のリーダーだね。今回のような方法で撮影するときに、あんなに見事にプレッシャーをコントロール出来る監督なんてそんなにいない」(トレッダウェイ)、「デビッドはいつもキャストの意見や疑問を丁寧に聞いてくれた。寒いし疲れていても、彼がいたから頑張れた。インスピレーションにあふれた人よ」(テナ)と全幅の信頼を置く。
現場で統率力を発揮したマッケンジー監督は、「疲れていたり思ったようにはいかなかったとしても、キャスト全員がフィルム制作に欠かせないパートなんだ」ときっぱり。そして、「キャスト全員がその場に完璧に溶け込み、アドレナリンがわきあがってくる感じ。今回初めて体験した、新鮮な素晴らしい出来事だった」と振り返る。今後も、今作で培った手法をいかしたいと明かし「その瞬間のライブ感、その場ならではの現在形の味わいが生まれてくると思うんだ。フィルムの内容がつねに過去形のままじゃつまらないからね」と新たな作品づくりに意欲を燃やす。
「One Night One Love ワンナイト、ワンラブ」は、11月3日から全国公開。
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