吉永小百合は「勇ましくて男前」 初タッグの阪本順治監督が“素顔”語る
2012年10月16日 22:00
[映画.com ニュース] 最新作「北のカナリアたち」の公開を控える阪本順治監督が10月16日、都内でトークショーを行った。主演を務めるのは、ベテラン女優の吉永小百合。阪本監督にとっては初めてのタッグで「オファーが来たときは、驚いて思わず膝かっくんとなった。吉永さんの主演作で、なんで僕の名前が挙がったんだろう」と述懐。「清楚で可憐というイメージはそのままに、勇ましく男前な面ももっている。吹雪の中、たったひとりで佇む姿は虚無僧(こむそう)のようだった」と吉永の“素顔”を語った。
原案は湊かなえ氏の「往復書簡」(幻冬舎刊)に収められた「二十年後の宿題」。北海道の離島を舞台に、女性教師・はる(吉永)と生徒6人の間で起こった20年前の転落事故を軸に、双方の思いが複雑に絡み合いながら、当時明かされなかった真実が衝撃的な結末を導き出すヒューマンサスペンス。阪本監督、そして「劔岳 点の記」で知られる木村大作キャメラマンのもと、利尻島、礼文島で冬パート、夏パートに分けて過酷な撮影が敢行された。
阪本監督によれば、現場の吉永は「とにかく課題を持ち込みたくないタイプ」だといい、「特に今回は、大自然にさらされての撮影だったので、主演女優として現場を止めたくないというお気持ちがあったと思う」と振り返る。撮影を前に、はるが島を離れてからの“空白の20年”を共有しながらキャラクターを作り上げたそうで「僕自身も、女性の登場人物のほうが自分を投影しやすい。主人公が男性だと、自分のあこがれを持ち込み見上げることが多い」と語った。
木村キャメラマンとの仕事も初めてで「とにかく、すさまじいのひと言」。体感温度が氷点下30度にもなる極寒の現場で、自ら海に入りイントレ(カメラや照明を設置する組立式の足場)の位置を指示する場面もあったといい「現場で、木村さんが『オイ!』とひと声かければ、現場の全員が振り向いた」と明かす。さらに、「風景が登場人物の心情を捉えているのはもちろん、前のシーンの余韻を受け取り、代弁しているシーンばかり」と最敬礼だった。
映画には20年後の成長した子どもたち役として、森山未來、満島ひかり、宮崎あおい、小池栄子、松田龍平、勝地涼ら実力派が勢ぞろいし「役柄にぴったり、というよりはちょっとした違和感やクエスチョンがあったほうが面白い。それと吉永さんと並んだときの佇まいとイメージした」と起用の理由を説明していた。
「北のカナリアたち」は、11月3日から全国で公開。
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