震災の内側を描く実話題材の映画「遺体」モントリオールでワールドプレミア
2012年9月4日 08:00

[映画.com ニュース] 東日本大震災直後の遺体安置所での出来事を、西田敏行主演、君塚良一監督で描く「遺体 明日への十日間」が9月2日(現地時間)、カナダ・モントリオールで開催中の第36回モントリオール世界映画祭でワールドプレミア上映された。08年の同映画祭コンペ部門で「誰も守ってくれない」が脚本賞を受賞した経歴を持つ君塚監督は、思い出の映画祭の地を再訪し、舞台挨拶や記者会見に出席。作品への思いを語った。
同作は、震災で甚大な被害を受けた岩手県釜石市の遺体安置所での出来事をつづった石井光太氏のルポタージュ「遺体 震災と津波の果てに」(新潮社刊)をもとにしたヒューマンドラマ。震災直後の混乱のなか、次々と運ばれてくる多くの遺体に人々が戸惑ういながらも、被災者である釜石市民の医師や歯科医たちが、犠牲者を一刻も早く家族と再会させてあげたいという思いから、遺体の搬送や検視、身元確認などのつらい作業にあたる姿が描かれる。
犠牲者を単なる「死体」として扱うのではなく「ご遺体」として接するという日本人の死生観を描き出す同作に、モントリオールの観客は静かに見入り、上映後はすすり泣く声も。「ご遺体に対して、生前のお名前で呼びかけるシーンにとても感動した」「“TSUNAMI”という言葉自体は知っていたが、本当の震災の内側については、この映画を通して初めて知った」といった感想があがった。
君塚監督は「この映画は被災地の人たちが犠牲者のために何をしたのかを描いています。報道では伝えきれなかった“真実”を世界の皆さんに伝えたかった」とコメント。製作に際しては、作品のモデルとなった被災者の人々に会い、「『本当の震災の内側を多くの方に知ってほしいので映像化させてほしい』と思いをお伝えした」という。そして、「その時に被災者の方より『“真実”を描くのであればぜひ映像化してください』というお言葉をいただきました。その言葉があったからこそこうやって作品にすることができました」と感謝の弁を述べた。
上映時の英語タイトルは「再会」「再結合」などを意味する「Reunion」。君塚監督は「震災によって離ればなれになった家族がまた再会できるよう、実際に多くの人たちが頑張りました。そういった日本人独特の死生観を描きたく『Reunion』としました」と英題に込めた思いを説明した。
「遺体 明日への十日間」は、2013年3月公開予定。
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