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青山真治監督、孤高の映画作家フィリップ・ガレル「愛の残像」を語る

2012年6月24日 14:00

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ガレルについて語った樋口泰人氏と青山真治監督
ガレルについて語った樋口泰人氏と青山真治監督

[映画.com ニュース] “ゴダールの再来”と呼ばれ、ヌーベルバーグの継承者として知られるフィリップ・ガレル監督作品「愛の残像」が6月23日公開し、青山真治監督、映画評論家の樋口泰人氏がトークショーを行った。

愛の残像」(08)は、ガレル監督の息子ルイ・ガレルと、演技力が高く評価されている若手女優ローラ・スメットが、写真家のフランソワと人妻のキャロルを演じ、出会って瞬く間に激しい恋に落ちたふたりの悲恋を美しいモノクロームの映像で描く。

青山監督は、「パリは残像通りの街。何度行っても同じで中身は変わるけれど外側は変わらない」と本作の舞台となったパリの街の魅力を語り、「ローラ・スメットの存在感が圧倒的。こんなに肉体が先行している女優はいない。あの瞳を引き付ける磁力は何なんでしょうか」と視線の演技や独特の存在感で強い印象を残すスメットを絶賛する。

本作では、死んだはずのキャロルの幻影がフランソワの前に現れ、ふたりの愛の深さを幻想的に映し出す。青山監督は「夢と現実を敢えて混合させてしまおうとする」と、ガレル監督にインタビューした際の話も交え、ガレル監督の夢へのこだわりとその撮り方を紹介した。

ガレル作品に共通するクラシックなデザインの服装に注目しているという樋口氏は、初期の作品から見られる傾向を挙げ「ガレルは何か自分が生きてきた時代を括弧にくくって映画を撮り始めたのではないか」と分析した。

また、青山監督は「ガレルの作品の主人公は死んでも悲しくなく、どんどん強くなっていく印象がある」と登場人物の“死なない強さ”を強調、さらに樋口氏は「ガレルの映画には自分の残像だけではなく、生きているものすべての残像が集約されているからではないか」とまとめた。

愛の残像」は渋谷シアター・イメージフォーラムで公開中。

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