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韓国の新鋭パク・ジョンボム、日本在住の脱北者と議論交わす

2012年3月28日 23:18

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パク・ジョンボム監督と北朝鮮難民救援基金代表・加藤博氏
パク・ジョンボム監督と北朝鮮難民救援基金代表・加藤博氏

[映画.com ニュース] 韓国の新鋭パク・ジョンボム監督が来日し3月28日、北朝鮮から韓国へやってきた脱北者の厳しい現実を描いた「ムサン日記 白い犬」の試写会に出席。北朝鮮難民救援基金の代表・加藤博氏と日本在住の脱北者ハン・ソッキュ(仮名)氏と、脱北の実態について議論を交わした。

シークレット・サンシャイン」「オアシス」などで知られる名匠イ・チャンドンに師事してきたジョンボム監督は、本作で長編劇場デビューを果たし、数々の国際映画祭で高い評価を得た。北朝鮮のムサンから韓国のソウルへと脱北してきた亡き親友をモデルに、脱北者の青年が直面する厳しい現実をリアリズムに徹して描く。

ジョンボム監督は、「モデルになったスンチョル君は大学の後輩だった。どんな風に彼が韓国に定住するようになったのか話を聞くうちに、彼の話を映画にしたいと思うようになった」と製作の経緯を説明。そして、「彼はガンで闘病していてもう亡くなってしまったけど、撮影中は現場も手伝ってくれていた。彼の思い出を整理して、彼の気持ちになりたかった」と胸中を吐露した。また、北朝鮮の実態について「『村の誰かが飢餓で死んでその人を埋めなきゃとなるんだけど、そのうち死人だらけになって誰も気にもかけずにその前を通り過ぎるようになった』とスンチョル君が話していた。その話がとても衝撃的だったことを覚えてる」と語った。

ソッキュ氏は、「私は日本から1人で帰国船に乗って北朝鮮に行き、また日本に戻ってきた。行ってまずビックリしたのは、物質的な生活水準の差。突然貧乏のどん底に落ち、だまされたという思いがした。さらにはあらゆる行動が制限され、缶詰に入れられたような閉鎖観だった。いつかはこの国の実態を世界の人々が知る必要があると思ってた」と訴えた。加藤氏も、「脱北者が韓国社会に溶け込むのも、日本の市民社会の一員になるのもものすごい努力が必要。文化の差や価値観の差が北東アジアの中にぎゅっと凝縮されている。この映画はそういう人々の苦しみや悲しみをうまく表現しているので、とても重たいものが伝わってくる」とコメントした。

ムサン日記 白い犬」は5月中旬より公開。

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