「ニーチェの馬」セットのコンセプトに建築評論家・五十嵐太郎が感嘆
2012年2月20日 15:30

[映画.com ニュース] ハンガリーの鬼才タル・ベーラ監督が最後の作品と公言する最新作「ニーチェの馬」公開を記念し、建築評論家の五十嵐太郎氏と東京国立近代美術館キュレーターの保坂健二朗氏が2月19日、東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムでトークイベントを行った。
第61回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員特別賞)と国際批評家連盟賞をダブル受賞した本作は、ドイツの哲学者ニーチェの逸話をもとに、いつ止むとも知れない暴風が吹き荒れる寒村に暮らす貧しい父娘と1頭の馬の日常と、やがて訪れる終末をモノクローム映像で描き出す。
劇中の舞台となるさびれた一軒家は、タル・ベーラ監督が丘の上に1本だけそびえたつ木を探し出し、その木を窓の外に見られるようなセットとして石と材木を用いて本格的に建てられた。
五十嵐氏は「その風景が欲しいから、実際に家を建ててしまったということがものすごい驚き」と感心した様子で、近代建築科ル・コルビュジエも、ある風景を見るために家を作ったことがあるという同様のエピソードを披露。「先にクライアントがいるので実現することはほとんどないのですが、ただその風景が欲しいからそこに家を建てるというプロセスは、建築家にとってとても理想的。コルビュジエが建物の窓をカメラに見立てて論じているものもあって、それを思い出しました」と感慨深げに語った。
同作を“厳粛なインスタレーション”と例えた保坂氏は「タル・ベーラ監督は、映画館という場所を非常に大事にしていると思った。世界をフィルムという物質で記録してきたことが終わって、今後はフィルムではなく情報で記録していくこの世界をどうとらえていくのかということが投げかけらているのではないか。そういう意味で空間全体の作品なのではないかと、深読みかもしれませんが思いました」と説明した。
また五十嵐氏は本作における“窓”のあり方が、ドイツの画家フリードリヒの「抒情的な風景画を彷ふつさせる」と指摘。その発言に加えて保坂氏がフリードリヒの絵の構図と本作の窓辺を映すカットの構図を比較するなど、それぞれの専門分野ならではの視点でトークを展開し観客をうならせた。
「ニーチェの馬」は公開中。
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