巨匠タル・ベーラ、「ニーチェの馬」に込めた人生論を大いに語る
2011年11月24日 22:05

[映画.com ニュース] ハンガリーの名匠タル・ベーラが最後の作品と明言する「ニーチェの馬」が11月24日、東京・有楽町で開催中の第12回東京フィルメックスで特別招待上映され、来日中のタル・ベーラ監督が観客とのQ&Aに出席した。
ムチに打たれ疲弊した馬車馬を目撃したドイツの哲学者ニーチェが、それを止めに入った後に精神が崩壊したという故事をもとに、荒野に暮らす初老の男とその娘、1頭の馬の日常を美しいモノクローム映像で描き出す。第61回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員特別賞)と国際批評家連盟賞をダブル受賞した。
通常、ティーチインは壇上で行われるが、タル・ベーラ監督は観客と同目線のフロアから質疑を受けることを主張。「この映画を通して人生のロジックを語りたかった。私は見えているもの、人生がどういう道をたどるのかシンプルに捉えているだけ。観客の尊厳を守りながら、自分の抱えている痛みも分かち合う。これこそが真の映画作りのロジックだ」と持論を展開した。モノクロームを選択した理由については、「私にとっては白黒の方が撮りやすい。カラーはたまにカラフルすぎてプラスチックのような違和感を感じる」と説明した。
さらに議論は深まり、「聖書には、神が6日間でこのクソみたいな世界を作ったという創世記がある。この映画はその時間を逆行していて、日々のうちに何かを失い、やがて終末を迎える。我々は毎日同じような日々を過ごしていると思い込みがちだが、人生は毎日変わっていくもの。余生は日々短くなり、私を含めみんなが孤独な終わりを迎える。このような問いかけに触れたかった」と人生論にまで及んだ。
「ニーチェの馬」は来年2月より全国順次公開。
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